こんにちは、松風知里です。
「文章は読めているはずなのに、何を聞かれているのかわかっていないみたい」
「本を読ませれば、読解力はつくのかな?」
小学校5・6年生くらいになると、そんなことが気になってくることがありますよね。
高学年になると、国語だけでなく、算数の文章題、理科や社会の説明文や資料など、文章を読んで必要な情報を整理する場面が増えてきます。
だからといって、「とにかくたくさん本を読めば大丈夫」というわけでもありません。
読解力には、
- 書いてあることを正確につかむ
- わからない言葉の意味を考える
- 情報同士を結びつける
- 登場人物の行動や筆者の主張の根拠を探す
- 読んだ内容を自分の言葉で説明する
といった、いくつもの力が関わっています。
この記事では、小学生高学年におすすめしたい本を、物語・説明文・読解練習・語彙という異なる角度から6冊選びました。
小学生高学年の「読解力」とは?
読解力というと、
「文章に書いてある答えを探す力」
と思われがちです。
もちろん、それも大切です。
けれど、高学年になると、もう一段深い読み方が必要になってきます。
たとえば物語なら、
「主人公はなぜこんな行動をしたんだろう」
と、文章に直接書かれていない気持ちを、会話や行動から考えることがあります。
説明文なら、
「筆者がいちばん伝えたいことは何か」
「この具体例は何を説明するために出てきたのか」
と文章の組み立てを見る必要があります。
さらに今は、紙の文章だけでなく、ウェブ上の情報や図表なども読む時代です。
高学年では「何冊読んだか」より、いろいろな文章をどう読んだかも大切になってきます。
小学生高学年の読解力を鍛える4つの方法
難しいことを毎日させる必要はありません。
家庭では、次の4つくらいを意識するだけでも十分です。
1.「どこにそう書いてあった?」と根拠を探す
本を読んだあと、
「主人公はどんな気持ちだった?」
と聞くのはよいのですが、さらに、
「どうしてそう思った?」
「どの言葉からそう感じた?」
と聞いてみます。
読解では、「なんとなくそう思う」だけでなく、文章のどこを根拠に考えたのかを見ることが大切だからです。
ただし、毎回質問攻めにすると読書そのものが嫌になってしまいます。
面白かった場面について一つ話すくらいで十分ですよ。
2.短く要約してみる
読み終えたら、
「今日読んだところ、3行で言うとどんな話?」
と聞いてみます。
最初から上手にまとめられなくても大丈夫です。
物語なら、
誰が → 何をして → どうなった
説明文なら、
何について → どんな説明があり → 結局何がわかった
くらいから始めると整理しやすくなります。
長い感想文を書くより、まずは短くまとめる練習のほうが取り組みやすい子もいます。
3.物語以外の文章も読む
読書というと小説を思い浮かべますが、それだけではありません。
図鑑、科学の本、伝記、新聞記事、説明書。
こうした文章では、
- 見出し
- 図表
- 数字
- 因果関係
- 具体例
など、物語とは違った読み方が必要になります。
いろいろな種類の文章に触れることが、「読む力」の幅を広げるきっかけになります。
4.わからない言葉をそのままにしない
文章が読めない理由が、実は「語彙」にあることもあります。
知らない言葉が一つ二つなら前後から想像できますが、わからない言葉が続けば、文章全体をつかむのは難しくなります。
知らない言葉が出てきたら、
「前後からどんな意味だと思う?」
と一度考えてから、辞書で確かめる。
それだけでも、言葉に注意して読む習慣につながります。
小学生高学年の読解力を上げるおすすめ本6選
今回は、「これを読めば読解力が上がる」と断定するのではなく、
どんな読み方の練習に向いているか
という視点で選びました。
『くちぶえ番長』重松清|登場人物の気持ちを読む
まず、普段あまり長い本を読まない子にもすすめやすいのが、重松清さんの『くちぶえ番長』です。
小学4年生のツヨシのクラスへ、マコトという女の子が転校してきます。
転校早々、
「この学校の番長になる」
と宣言するマコト。
ところが読み進めるうちに、最初の印象とは違う彼女の一面が見えてきます。
ベネッセも、小学校高学年向けの読書として『くちぶえ番長』を紹介しています。
この本で注目したいのは、
「言ったこと」と「本当の気持ち」が必ずしも同じではない
ところです。
「どうしてマコトはこう言ったんだろう」
「ツヨシの気持ちは、最初と最後でどう変わった?」
と考えながら読むと、行動や会話から心情を読み取る練習になります。
おすすめ:長い本にまだ慣れていない子/友情物語が好きな子
『この夏の星を見る』辻村深月|複数の人物と出来事を整理する
もう少し長い物語に挑戦するなら、辻村深月さんの『この夏の星を見る』。
2025年には角川つばさ文庫版が上下巻で刊行され、公式にも小学校高学年から中学生向けとされています。
舞台は2020年。
新型コロナウイルスの流行によって、学校生活や部活動が思うようにできなくなった中高生たちが、オンラインでつながり、星を探す「スターキャッチコンテスト」に取り組みます。
この作品のおもしろいところは、ひとりだけではなく、住んでいる場所も立場も違う人物たちの物語がつながっていくところです。
「今は誰の話なのか」
「この出来事と、前に出てきた出来事はどうつながるのか」
と整理しながら読むことになります。
長い文章を読み、複数の情報を結びつける経験にも向いています。
おすすめ:長編に挑戦したい子/星や科学、部活動の話が好きな子
『モモ』ミヒャエル・エンデ|言葉の奥にある意味を考える
高学年になったら、一度挑戦してほしいのが『モモ』です。
岩波少年文庫版は小学5・6年生以上が対象とされています。
町に現れた不思議な少女モモ。
やがて、人々の「時間」を奪う灰色の男たちが現れます。
物語として読んでも楽しめますが、高学年なら、
「灰色の男たちは何を表しているんだろう」
「時間を節約しているのに、なぜ人々は幸せそうではないんだろう」
と考えてみると、さらに面白くなります。
文章に書かれた出来事の向こう側にあるテーマを考える。
そんな少し深い読み方に挑戦できる一冊です。
おすすめ:ファンタジーが好きな子/考えながら読むことが好きな子
『こども気象庁』気象庁監修|説明文と情報を読む
読解力を考えるなら、小説だけではなく情報を読む本も一冊入れたいところです。
『こども気象庁』は、気象庁が監修した2025年刊行の児童書。
天気だけでなく、線状降水帯、台風、地震、津波、火山、防災情報などを、マンガやイラストを交えて解説しています。
山梨県立図書館など県内の図書館員が選んだ「こどもにすすめたい本2026」でも、小学校高学年向けに挙げられています。
こうした本では、小説とは違って、
「見出しから必要な場所を探す」
「図や文章を合わせて理解する」
「原因と結果を整理する」
といった読み方ができます。
興味のある分野の説明本なら、「勉強のため」と感じずに情報を読む経験を増やせます。
おすすめ:小説より科学・天気・自然が好きな子
『いちばんやさしい読解力ドリル 小学高学年用』|読み方そのものを練習する
2026年3月にGakkenから発売された、小学5・6年生対象の新しい読解ドリルです。
「本は読むけれど、国語問題になるとうまく答えられない」
という場合には、物語を増やすだけではなく、文章のどこを見るかを練習する本を取り入れる方法もあります。
読書と問題演習は同じものではありません。
読書には物語を自由に楽しむよさがありますし、ドリルには、
「何を根拠に答えるのか」
「文章をどう整理するのか」
を確認しやすいよさがあります。
本を読む時間とは分けて、少しずつ取り組むのがよいでしょう。
おすすめ:長い問題文が苦手/読むポイントを具体的に練習したい子
『楽しく学んで、伝える力がグングン伸びる! こども「語彙力」ゲーム』齋藤孝|言葉を増やす
もう一冊、2026年刊行の本から選びました。
齋藤孝さんの『こども「語彙力」ゲーム』は、しりとりやクロスワードなどのゲームを通して、言葉を増やしていく本です。KADOKAWAは、文章力や読解力の土台となる語彙を遊びながら学ぶ本として紹介しています。
文章の意味がわからないとき、
「文章が難しい」のではなく、
知らない言葉が多すぎる
ことがあります。
ですから、読解問題ばかり解くのではなく、言葉そのものを増やす方法も大切です。
勉強らしい教材を嫌がる子なら、こうした遊びのある本から始めてもよいと思います。
おすすめ:言葉の意味でつまずきやすい子/ゲーム感覚で取り組みたい子
どの本から選ぶ?タイプ別早見表
迷ったときは、お子さんの今の状態から選んでみてください。
| お子さんのタイプ | おすすめ |
| 本を読む習慣がまだ少ない | 『くちぶえ番長』 |
| 長編を読めるようになってきた | 『この夏の星を見る』 |
| 物語の意味を深く考えてみたい | 『モモ』 |
| 科学やニュースが好き | 『こども気象庁』 |
| 国語の文章問題に苦手意識がある | 『いちばんやさしい読解力ドリル』 |
| 語彙が少ないことが気になる | 『こども「語彙力」ゲーム』 |
いちばん大切なのは、
その子が読み続けられる本を選ぶこと
です。
高学年だからといって、難しい名作を無理に読ませる必要はありません。
反対に、本が好きな子なら、中学生向けの作品へ少し先取りしても構いません。
「小学5年生だからこの本」と決めるより、その子の興味や読書経験に合わせるほうが自然です。
音読はしたほうがいい?
以前のこの記事では、音読を読解力アップの中心として紹介していました。
今回は少し表現を変えます。
高学年でも音読は役立つことがありますが、すべての本を音読する必要はありません。
たとえば、
「一文が長くて意味がわからない」
というときに声に出して、文の切れ目を確かめる。
詩や印象的な文章を声に出して、文章のリズムを味わう。
そんな使い方で十分です。
黙読で集中して物語を楽しめているなら、それを止めてまで音読させなくてもいいんですよね。
「読んだあと」の親子の会話で気をつけたいこと
読解力を伸ばそうと思うあまり、
「主人公の気持ちは?」
「作者が言いたいことは?」
「今日読んだところをまとめて」
と毎回聞かれると、本が「テスト」になってしまいます。
ですから私は、
10回の読書のうち、1~2回話せればいい
くらいの気持ちでよいと思います。
「どこがおもしろかった?」
「この人、私はちょっと苦手だったな。あなたは?」
そんな普通の会話でも、本の内容を思い出し、自分の言葉で説明することになります。
正解を言わせることより、
「どうしてそう思ったの?」
を聞いてみる。
それくらいがちょうどいいですね。
KindleやAudibleは、読書のきっかけとして上手に取り入れて
本を読む方法も、今はいろいろありますよね。
紙の本が好きな子もいれば、タブレットやスマートフォンのほうが読みやすいと感じる子もいます。
Kindleなら文字の大きさを変えられるので、自分の読みやすい形に調整できるのも便利なところです。
一方、Audibleなどで物語を「聴く」ことも、本の世界に親しむきっかけになります。
ただ、耳で物語を聴くことと、文字を目で追いながら文章を読み取ることは、少し違うんですよね。
ですから、「Audibleを聴けば読解力が上がる」と考えるよりも、
「本っておもしろいな」
「この続き、自分でも読んでみたいな」
そんな気持ちにつながれば、それで十分だと思います。
紙の本でも、電子書籍でも、朗読でも。
大切なのは、方法を決めつけることではなく、その子が無理なく本や言葉に親しめる入口を見つけること。
まずは好きな方法から、本の世界を楽しんでみてくださいね。
読書習慣そのものをどう育てればいいのか気になる方は、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。▶読書好きな子供は将来どうなる?本が好きな子供の特徴や小学生が本を読むメリットも
まとめ|読解力は「読ませる」より、いろいろな文章を楽しむことから
小学生高学年になると、文章は少しずつ長くなり、書かれていることを整理したり、文章に直接書かれていないことを考えたりする機会も増えてきます。
今回おすすめしたのは、
『くちぶえ番長』
『この夏の星を見る』
『モモ』
『こども気象庁』
『いちばんやさしい読解力ドリル 小学高学年用』
『こども「語彙力」ゲーム』
の6冊です。
物語だけでなく、説明文や語彙、読解問題にも触れることで、「読む」という行為にもいろいろな種類があることがわかってきます。
そして、本を読むことそのものは、本来楽しいものです。
読解力をつけたいからといって、すべての読書に課題をつける必要はありません。
夢中になって読む日があって、時々、
「どうしてそう思ったんだろう」
と考える日がある。
そのくらいの距離から始めてみてはいかがでしょうか。

