覚えておくべき文学作品で読みやすいのは?名作10選と読んだ方がいい理由についてご紹介します。
「本を読むのが苦手」や「難しい文学作品に挑戦したいけど不安」と感じているあなた、そんな気持ちもよくわかります。
名作と聞くと、つい敷居が高く感じることもありますよね。
でも安心してください!
実は、意外と読みやすく、心に残る名作がたくさんあるんです。
今回は、初心者でも楽しめる10冊を厳選し、その魅力をお伝えします。
これから本を読んでみようと思っているあなたにとって、心に残る一冊に出会えるきっかけになることを願っています。
読みやすくて感動する名作10選
名作を読むことで、文学の深い魅力に触れ、心に残るメッセージを受け取ることができます。
どの作品にも人生を豊かにする教訓や新しい視点が散りばめられており、物語を楽しむだけでなく、自分の考え方や生き方に影響を与えてくれます。
こころ 夏目漱石
過去の後悔と孤独に苦しむ先生が、自分自身と向き合う切ない物語です。
少年が鎌倉の海岸で出会った「先生」は、どこか影を帯びた人物。
先生と親しくなっていくうちに、少年は先生の過去と向き合うことになります。先生が抱える罪と悔恨、その裏切りが親友の命を奪ったことへの深い苦しみが、彼の孤独を際立たせます。
手紙に込められた先生の思いは、読んでいて胸に迫るものがあり、彼自身もまたその苦しみの中で生き続け、やがて自らの運命を決意する姿が切なくも痛ましいです。
この作品は、心に残る深い感情を短い時間で感じ取れるほどシンプルで読みやすいです。先生の苦しみや悔恨を描いた手紙が、まるで自分のことのように胸に迫り、読み進めるうちにその切なさに引き込まれます。
夏目漱石(1867年生〜1916年没)は、東京都新宿区出身の作家。本名は夏目金之助。明治末期から大正初期に活躍し、現代日本文学の基礎を築いた。代表作には『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『三四郎』がある。大学時代に正岡子規に師事し俳句を学び、その後、教師や教授を経てイギリスに留学。帰国後は東京帝国大学で英文学を教えた。
人間失格 太宰治
何を読めばいいかわからないとき、あなたが生きづらさを感じているならこれを読んでみよう。
太宰治の『人間失格』は、主人公・葉蔵の破滅的な人生を描いた物語です。女性関係の混乱や心中未遂、モルヒネ依存症、自殺未遂事件という絶望的な出来事が次々と押し寄せますが、彼は決して悪人には見えません。むしろ彼の苦悩は、現代社会に生きる私たちが感じる孤独や疎外感に重なり、共鳴するものがあります。
この物語は、単なる悲劇ではなく、深い人間理解を伴う温かさが底に流れています。人生の闇に飲み込まれそうなとき、この物語はそっと寄り添ってくれるでしょう。
『人間失格』は、主人公の深い苦悩と人間らしさをリアルに描いているため、誰もが感じる孤独や生きづらさに共感でき、心に残る一冊です。
太宰治(1909-1948)は、本名・津島修治。左翼活動の挫折後に自殺未遂や薬物中毒を経験し、戦前後に『走れメロス』『津軽』『人間失格』など多くの作品を発表。代表作『斜陽』はベストセラーとなり、戦後は新戯作派・無頼派の一員として知られます。
関連:>>織田作の生涯や、太宰治・坂口安吾との関わりを通して、無頼派の意味や影響について解説します。
雪国 川端康成
愛と裏切りの狭間で揺れる人間の心の葛藤を描いた物語です。
妻子を持つ文筆家・島村が雪国の温泉旅館で芸者・駒子と関係を深める物語。
途中で出会った女性・葉子にも惹かれ、複雑な感情を抱えながら進行します。川端康成は直接的な表現を避けつつ、言葉の裏に強い感情を込め、島村と駒子の関係を描いています。終盤では、火事で葉子が落下し、駒子がその出来事を「自分の犠牲か刑罰」と感じるなど、物語全体に繊細な人間関係と美しい描写が広がります。
「雪国」は、川端康成ならではの繊細な描写と深い感情が詰まった作品で、登場人物たちの複雑な心の葛藤を静かに描きながらも、読みやすく心に響く物語です。
川端康成(1899-1972)は、大正から昭和にかけて活躍した日本の作家で、日本芸術院会員や文化勲章を受章。1968年には日本人初のノーベル文学賞を受賞し、代表作に『伊豆の踊子』『雪国』『千羽鶴』などがある。
山椒魚 井伏鱒二
成長がもたらす孤独と友情の大切さを描いた物語。
成長しすぎて自分の住処から出られなくなった山椒魚の悲哀をユーモラスに描いた作品です。
谷川の岩屋に住む山椒魚は、二年間の生活で体が大きくなり、出入り口に頭が詰まってしまいます。狭い空間で虚勢を張る彼は、外の世界を眺めながら目高の群れを嘲笑い、白い花弁が沈む様子を見ては思索にふけります。
ある夜、小蝦が岩屋に迷い込み、山椒魚の横腹に卵を産みつけます。小蝦の屈託のない様子を見て、山椒魚は初めは驚くものの、彼自身の愚かさに気づきます。
山椒魚が外に出ようと奮闘するも、失敗続きで神に助けを求める場面では、孤独感が募り読み手は泣きたくなるほど。
やがて、山椒魚は外に出られない蛙を閉じ込め、共に閉じ込められた二匹は互いに争い続けます。蛙が岩屋の中での美しさに嘆息するのを聞いた山椒魚は、ようやく彼を受け入れようとしますが、時すでに遅し。互いに反発しながらも、孤独に苛まれた二匹の姿は、現代社会の人間関係にも通じるものがあります。
この物語は、私たちが直面する「閉塞感」や「孤独」をユーモアを交えながらも深く考えさせる作品です。時には、自分の限界を受け入れることが新しい道を開く鍵かもしれません。山椒魚の切ない成長物語は、きっと心に響くでしょう。
この作品は、ユーモアを交えながらも深いテーマを描いており、簡潔なストーリーと共感できるキャラクターを通して、孤独や成長の葛藤を感じやすいので、どなたでもすっと入りやすいです。
井伏満壽二(いぶせますじ)は、1898年2月15日に広島県加茂村(現・福山市)に生まれました。幼少期に父を失い、祖父に育てられました。早稲田大学に入学するも中退し、1923年には同人誌『世紀』に参加して処女作「幽閉」を発表。1929年に代表作『山椒魚』を発表し、直木賞を受賞、後に文化勲章も受章しました。1993年7月10日、95歳で東京都杉並区で亡くなりました。彼の作品は戦争や人間の苦悩をテーマにしています。
羅生門 芥川龍之介
生きるためにやむを得ず悪いことをする人の苦しみの物語です。
この物語は、平安時代の衰微した都で生き延びるために奮闘する下人の葛藤を描いています。
主人を失い、盗人になる決意をする下人は、羅生門で雨宿りをしながら、老婆が女の死体から髪を抜く光景を目撃します。老婆は、髪を抜く行為を生き延びるための仕方ない選択と語ります。この言葉に失望した下人ですが、やがて自らも生き延びるために手段を選ばない覚悟を決め、老婆から着物を奪います。
この物語からは、生存を賭けた人々の切実な姿が伝わってきます。生きるために道徳や倫理を超えた行動を取ることの苦悩、そしてそれがもたらす変化が印象的です。
下人が最初は老婆の行為を憎悪するものの、最終的には自らも同じように手を染めることで、人間の本能的な生存欲求が浮き彫りになります。時代や状況に関わらず、人間の持つ強さや脆さを感じさせる一作ですので、ぜひ手に取ってみてください。きっと何か心に響くものがあるはずです。
この物語は短編で、登場人物の葛藤と心情が直接的に描かれているため、スッと理解でき、読みやすいです。
平安時代の背景に生きるための切実な選択が共感を呼び、心に響く内容が心に残ります。
併録の『鼻』も大変面白いですよ♪
主人は鼻が長いので生活するのに邪魔なので、この憎たらしい鼻をなんとか短くしようとする物語です。
よければ、一緒に読んでみてくださいね!
芥川龍之介(1892-1927)は東京出身の小説家。代表作には『羅生門』『鼻』『地獄変』『歯車』などがあり、短編小説の名手として知られます。号は「澄江堂主人」、俳号は「我鬼」です。
吾輩は猫である 夏目漱石
猫の目を通して人間の奇妙さと生の深さを描く、ユーモラスで哲学的な物語。
独特な視点で人間社会を描いた作品です。語り手は自らを「吾輩」と呼ぶ雄猫で、捨てられた後に珍野(ちんの)家に住むことになります。ここで出会うのは、変わり者の英語教師・珍野苦沙弥や、隣の雌猫・三毛子。
吾輩は三毛子に恋をしますが、彼女が亡くなったことを経験し、人生の厳しさを学んでいきます。
この猫の目を通して、私たち人間の習慣や思考がいかに奇妙かを考えさせられます。
生きる意味や死についての哲学的な問いも織り交ぜられ、時に深く、時にユーモラスな視点で描かれています。特に、吾輩が人間の行動を観察し、その不条理をつぶやく様子には思わず笑ってしまいます。
最後に、吾輩が水瓶に落ち、自らの死を受け入れる場面は印象的です。生と死、そして自由の意味を考えさせられる深い物語。ちょっと変わった視点から人生を見つめ直したい方にはぴったりの一冊です!
この作品は、猫の目線で人間社会の奇妙さや生の深さを描いているため、ユーモラスでありながらも深い哲学的な視点を楽しめ、誰でも読みやすい形で考えさせられる一冊です。
檸檬 梶井基次郎
日常の中に潜む小さな幸福とユーモアを見つける物語。
梶井基次郎の代表作『檸檬』は、感覚と知性が融合した美しい文体で描かれた短編です。
この物語の主人公は、憂鬱な日々に悩まされながら、ある日、果物屋で出会ったレモンに心を惹かれます。手にしたレモンは、彼にほんの少しの幸福感をもたらし、重苦しかった心情が緩む瞬間を描いています。
丸善という書店に立ち寄った彼は、再び憂鬱に襲われつつも、レモンを画集の上に置くことで、その鮮やかな色が周囲の景色を引き立て、思わず爆弾のように想像を膨らませます。
このユーモラスな想像が、彼の心を軽くし、日常の中の非日常を感じさせてくれます。
『檸檬』は、単なる物語を超えて、色彩や感情を豊かに表現した作品です。読者としては、日常に潜む小さな喜びや、独特の視点から世界を感じる楽しさを味わえることでしょう。
文学に興味がある方や、心の葛藤を感じている方にとって、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
『檸檬』は、短編ながらも美しい文体とユーモアを交えた描写で、日常の中に潜む小さな幸せを感じさせてくれるので、気軽に読みながら心温まる瞬間を味わえる作品です。
梶井基次郎(1901-1932)は、感覚的かつ知的な簡潔な描写と詩情豊かな文体で知られ、20篇余りの作品を残しました。没後に評価が高まり、現在では近代日本文学の古典として位置付けられています。
斜陽 太宰治
終戦後の混乱の中で、自分を失った人たちがどう生きるかを考える物語です。
太宰治の『斜陽』は、終戦直後の混沌とした時代背景を舞台に、没落する貴族階級を描いた作品。物語は、主人公のかず子とその周囲の人物たちのそれぞれの没落を追いながら進みます。
社会が荒れている中で、悪事を働く人々が堂々としている様子が描かれ、かず子たちはその中でさまざまな選択を迫られます。自らを失っていく者や、強く生きる道を選ぶ者など、彼らの繊細さと強さが交差し、心に残るストーリーが展開されます。
この作品を読むと、時代の波に翻弄されながらも、どう生きるかを真剣に考えさせられます。特に、登場人物の感情や選択は、私たちの日常にも共鳴する部分があり、何か大切なものを見つめ直すきっかけになるかもしれません。
太宰の独特の文体に引き込まれ、彼の描く人間の内面に触れることで、深い感動を得られること間違いなしです。
『斜陽』は、太宰治独特の文体で描かれた登場人物の心の葛藤がリアルで、混乱した時代背景の中での選択に共感しやすく、読みやすさと深い感動を与えてくれる作品です。
舞姫 森鴎外
森鷗外の短編小説で、愛と友情の間で悩む男の切ない物語です。
19世紀末、ドイツ留学中の太田豊太郎は帰国の船中で過去を振り返ります。
幼少期に父を失い、母の期待に応え続けた彼は、学問に全てを捧げる日々を送っていました。ドイツで出会った美少女エリスとの交流を通じて、彼は自らの受動的な生き方に気づきます。しかし、友人の告げ口で職を失い、エリスへの愛が深まる中、官界復帰の道を選ぶ決断をします。
最終的にエリスは精神的な病に苦しみ、豊太郎はその影響を受けつつも、友情と愛の難しさを感じる切ない物語です。
恋愛小説が好きな方におすすめです。
この作品は、短編ならではの簡潔さで心に響く深いテーマが描かれており、感情の動きがわかりやすく、誰もが共感できる恋愛と友情の葛藤を描いています。
森鷗外(本名:森林太郎、1862-1922)は、島根県出身の作家・軍医で、東京大学医学部を卒業後、ドイツへ留学しました。代表作に『舞姫』や『ヰタ・セクスアリス』『雁』などがあり、日本文学に大きな影響を与えました。
友情 武者小路実篤
友情と恋の間で揺れる心の葛藤の物語です。
新進脚本家の野島は、作家の大宮と切磋琢磨しながら夢を追っています。大宮を尊敬し、いつも励まされている野島ですが、彼の心には友人の妹・杉子への恋が芽生えます。大宮に打ち明けると、彼は親身になって応援してくれますが、杉子に対する態度は冷たく、野島は複雑な心境に。
大宮の突然のヨーロッパへの旅立ちが、友情と恋の間で揺れる野島に影響を与えます。彼は杉子にプロポーズするも断られ、杉子はヨーロッパに旅立つことに。
さらに、大宮から送られてきた手紙には、杉子への思いが綴られており、野島は怒りに震え、決別を決意します。
この物語は、友情や恋愛の複雑さを見事に描いていて、思春期のような葛藤が心に響きます。野島の切ない気持ちや、大宮との友情が試される瞬間が胸を打ちます。
恋愛に悩む方にとって、感情の揺れ動きを共感できる作品となるでしょう。是非読んで、心の中にある感情を再確認してみてください。
この作品は、友情と恋愛の複雑な感情を描いており、登場人物の心の葛藤に共感しやすいため、感情移入しやすく、読みやすいです。
武者小路実篤(1885年5月12日生まれ、1976年4月9日没)は、東京都出身の公家の子爵であり、藤原北家の末裔です。1910年に志賀直哉らと雑誌『白樺』を創刊し、60年以上にわたる文学活動を展開した。代表作には『おめでたき人』『友情』『愛と死』があり、人生の讃美や人間愛をテーマにしています。
夏目漱石の『こころ』では、失恋した人は命を絶ち、 一方、武者小路実篤の『友情』は失恋した人は強く生きる決心をするんだよね!
対照的で面白いよね。
何を読めばいいか迷っているなら、まず、この二冊を読んでみるといいと思うよ!
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本を読んだ方がいい理由
- 読書を通じて知らなかった世界や価値観に触れ、視野が広がる。
- 登場人物の感情や経験を追体験することで、感情面が豊かになり、他者への共感力が向上する。
- 言葉や表現力が磨かれ、コミュニケーションや自己表現がスムーズになる。
- 読書は心の栄養となり、私たちを成長させてくれる存在。
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まとめ
紹介した作品は、どれも自分のペースで楽しめる読みやすい名作ばかりです。ぜひ、自分の心に響く作品を見つけて手に取ってみてください。
きっと、読書がもっと楽しくなる一歩を踏み出せるはずです。
どの作品も深い感動と学びを与えてくれるので、あなたにとっての“名作”に出会えることを願っています。
さて、あなたにとっての“名作”は、どんな作品ですか?