ドゥマゴ文学賞歴代の受賞作品からおすすめ6選!選考委員は誰?についてご紹介します。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞とはどのような文学賞なのでしょうか?知っているようで、案外知らなかったりしますよね。
今回は、Bunkamuraドゥマゴ文学賞歴代の受賞作から、特におすすめの6冊を紹介します。どの本も読んでみたくなるような魅力がたっぷりです!
さらに、選考委員の方々についても触れて、どんな人たちがこの賞を選んでいるのかもお伝えします。お気に入りの一冊を見つけて、心温まる読書タイムを楽しんでくださいね。
ドゥマゴ文学賞歴代の受賞作品からおすすめ6選!選考委員は誰?
Bunkamuraが始めた文学賞は1990年に設立されました。
この賞は、1933年にパリで作られた「ドゥマゴ賞」の影響を受けているのです。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞とは、新しい考え方や独自のアイデアを重視して、新しい才能を見つけることに力を入れている文学賞なんですよね。
Bunkamuraの文学賞についても「ドゥマゴ賞」同様に、決まりきった考えにとらわれず、新しい才能を見つけて応援することを目的としています。
こうして、新しい作家や作品が世に出る手助けをしているのです。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞選考委員は誰?
毎年、著名な作家や批評家がひとりだけ選考委員になり、その年に大きな影響を与えるような作品を選ぶという、他の文学賞とは違う特別な魅力があります。
選考委員がそれぞれの独自の視点で選んだ受賞作品は、予想外の作家や作品であることがよくあります。
そのため、文学ファンだけでなく、普通の読者の間でも話題になりやすのです。
◆対象作品 昨年の7月1日から今年の7月31日までに出版された日本語の本や雑誌に載っている文学作品が対象です。
◆授賞式 10月にBunkamuraで授賞式が行われます。
◆賞品
- 正賞: 賞状とスイスのゼニス社の時計
- 副賞: 100万円
- 受賞者が希望すれば、フランスの文学賞授賞式に招待されることもあります。
フランスのドゥマゴ賞とのつながり
由緒あるフランスのドゥマゴ賞とのつながりがあることで、国際的な視点も取り入れられた文学賞としての注目度が高まっています。
◆ドゥ・マゴ賞(Prix des Deux Magots)は、フランスの文学賞です。
1933年に始まり、特に新しくて独創的な小説に贈られます。アカデミックなゴンクール賞に対抗する形で設立されました。
◆ドゥ・マゴ(Deux Magots)ってどういう意味?
ドゥ・マゴという名前は、店に飾られている2つの中国の陶器の人形に由来しています。
「マゴ」はずんぐりした陶器の人形のことを指し、「ドゥ」は「2つ」という意味です。
つまり、「ドゥ・マゴ」は「2つの陶器の人形」という意味になります。
ドゥマゴ文学賞歴代の受賞作品からおすすめ6選!と選考委員
Bunkamuraドゥマゴ文学賞歴代受賞作品とひとりの選考委員の一覧を、この見出しの下部にて、ご紹介リンクを設けてありますので、ご覧くださいね。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞おすすめ本6選
Bunkamuraドゥマゴ文学賞おすすめ本6冊をご紹介します。
トリュフォー ―ある映画的人生
フランソワ・トリュフォー(1932〜1984)は、フランスを代表する映画監督です。彼のデビュー作「大人は判ってくれない」を撮るまでの前半生を描いた伝記です。
トリュフォーの友人だった山田氏の温かい視点から、彼のドラマチックな人生が語られています。トリュフォーは映画への情熱を持ち続け、映画批評家から監督へと成長していきました。
本書では、彼が映画界に与えた影響や、映画史における重要な転換点を体現した姿が詳しく描かれています。
ヌーベル・ヴァーグを知らない人でも理解できるように丁寧に書かれており、映画と人生が重なり合うトリュフォーの魅力が伝わります。この本を読むと、トリュフォーの映画をもう一度見たくなること間違いなしです。
映画ですと、『大人は判ってくれない』『終電車』『華氏451』など他にもたくさんあります。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
◆第1回(1991年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第1回(1991年)選考委員:蓮實重彦 /著者: 山田宏一
くっすん大黒
三年前、仕事が嫌になって辞めた僕は、毎日お酒を飲んでぶらぶら過ごしています。そのせいで、妻の夏子は家を出て行ってしまいました。部屋には金属製の大黒さまが放置されており、その状態に嫌気がさしています。
この本は、日本にパンクを広めた町田康が書いたもので、彼の作家としての鮮烈なデビュー作です。
この大黒さまをどうにかしたいという行動から、ぶらぶら過ごしていた日々から遠ざかっていくのですが、その成り行きやドタバタ劇が目に見えるように面白く書いてあります。この作品を読めば町田康の描く物語に共通してある「読みやすさ」が功を奏して、気概なく読書に耽ることができます。
まだ、彼の作品を読んだことのない方こそ読んで欲しいです。
◆第7回(1997年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第7回(1997年)選考委員:筒井康隆/著者 : 町田康
不倫と南米
この短編集は、すごく短いのに心に残るような文章が特徴です。読みながら風が吹くような、少し寂しさを感じる雰囲気が漂っています。また、各章には南米の写真があり、その風景を見るのも楽しみです。南米と言えば情熱的なイメージがありますが、この本を読むとそのイメージが変わります。不倫だけでなく、さまざまな人生の悩みや心の揺れが描かれているのも読みごたえがあります。
主人公たちは、結婚しているのに別の人を好きだったり、夫との生活に安らぎを感じたりと、異なる悩みを抱えています。彼女たちは旅行や仕事で南米に行くことになり、その地の美しい自然や遺跡、町並みの写真が挿絵として登場します。これらの風景は、彼女たちの心の動きにも影響を与えています。
この本を読んで、今の自分の状態をそのまま受け入れる気持ちになり、南米という遠い場所で感じる異国の実感が、心を落ち着ける助けになってくれます。
心が疲れたときにまた読みたくなる一冊です。
◆第10回(2000年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第10回(2000年)選考委員:安野光雅/著者 : 吉本ばなな
流跡
この作品は夢のような不思議な話が続く物語です。登場するのは人や密書、スーツケースなどで、夜になると「よからぬもの」を運ぶ舟の船頭が現れたり、雨が上がった後の水たまりに煙突を見つけた会社員や、漂流した島で船に乗り遅れる女性など、奇妙な場面が描かれます。朝吹真理子は言葉の使い方が自然でありながらも、非常に印象的な作品を作り上げたことで知られています。
また、この本には「家路」という短編も含まれていて、これは芥川賞を受賞する前に書かれた作品なのですが、文体は独創的で、目立つわけではありませんが、優しく流れるような文章です。
みなさんがこの作品が気に入るかどうかはわからないけれど、私は一気に読んでしまいました。
物語には、時系列に沿った出来事はありません。むしろ、作者や登場人物の幻想や妄想が連続しているようです。
全体は大きく二つの部分に分かれていて、前半は幻想の世界に引き込まれていく主人公、後半は同じような幻想に魅了されながらも現実に留まる主人公が描かれています。
この小説を読む一番の楽しみは、それぞれの幻想を織り成す言葉の感覚を味わうことだと思います。時々挟まれる擬音語(オノマトペ)が、次のイメージへの橋渡しをしているのかもしれません。
物語の最初と最後では、読者と記述者の立場が逆転していて、その意味が少し理解しにくい部分もあります。
◆第20回(2010年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第20回(2010年)選考委員:堀江敏幸 /著者: 朝吹真理子
マザーズ
作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子は、同じ保育園に子どもを預けています。それぞれが育児に疲れ、夫との関係が冷え切っていく中で、彼女たちは不安や焦りを感じ始めます。子どもへの愛情や自分の気持ちがぐちゃぐちゃになり、身体や心が疲れ、将来に対する不安が募るいっぽうの日々を過ごしています。
この作品では、育児や結婚、出産の現実をきれいごとだけでなく、女性たちの複雑な感情や問題を取り上げています。例えば、不倫や虐待、流産といったタブーにも踏み込んでおり、女性の感情や苦悩をリアルに描いています。
まだ若い作者がこんなに深い問題をしっかりと描いたことに感動します。
◆第22回(2012年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第22回(2012年)選考委員:高樹のぶ子/著者 : 金原ひとみ
買えない味
このエッセイ集は、日常の中にあるおいしさを紹介しています。例えば、一晩寝かせたお芋の煮っころがしや、土瓶で淹れた番茶、風にあてた干し豚の味わいが語られています。
また、料理に関するちょっとした話題も取り上げられており、箸置きやテーブルクロス、冷やご飯の意外な美味しさなどが描かれています。
作者は、まな板をたくさん持ってしまうことや、家での皿洗いの担当などを軽い感じで書き、読んでいると「こういう台所っていいな」と思わせてくれます。
ユーモアを交えた独特の視点が魅力的で、思わずクスッと笑ってしまいます。このエッセイを読んで、リネンのキッチンクロスを買ってみたくなりました。影響力ありますね。
◆第16回(2006年)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品
◆第16回(2006年)選考委員:山田詠美/著者 : 平松洋子
関連:>>第34回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞者は高野秀行さん。ノンフィクション作家であり、辺境探検家、翻訳家としても知られています。
フランス文学関連書籍
ドゥマゴ文学賞初代の著者とフランス文学に関する関連書籍をご紹介します。
初代ドゥ・マゴ賞
1933年受賞 レーモン・クノー
『はまむぎ』滝田文彦訳、白水社、(新装復刊版) 2001年。
この小説は、とても難しくて、正直なところ、全てを理解するのは大変です。でも、その難しさこそが魅力でもあります。
物語にはたくさんの登場人物が出てきて、それぞれが哲学や財産、性欲、生活などについて悩んでいます。その一つ一つの考えを丁寧に言葉にしているため、文章がとても複雑になっています。
また、話の展開とは直接関係のない場面やイメージが突然挿入されることもあり、それがさらに難解さを増しています。しかし、そうした複雑さが、この小説の魅力でもあり得ます。
レーモン・クノー は一つ一つの言葉や場面に力を注ぎ、妥協せずに本当に伝えたいことを追求しています。そのエネルギーと情熱が最後まで続いていることに感動しました。そして、ラストは本当に美しく、「書く」ということの素晴らしさを感じさせてくれます。
フランスの有名な文学作品
失われた時を求めて/マルセル・プルースト
翻訳によって本の感じ方や読み方が変わることがあります。
このタイトルの本は何度も挫折しそうになりましたが、名作なので最後まで読みたいと思っていました。今回、岩波文庫版を読んで、ついに全巻読み終えることができたとき、とても嬉しく思いました。
この本が読みやすかった理由は、まず最初に登場人物の一覧があって、それぞれの説明や関係がわかりやすく書かれていたことです。また、注釈が親切で、わからないことがあればすぐに確認できました。さらに、写真や図もたくさん使われていて、理解しやすかったです。長い物語の中で、1巻で出た伏線が13巻や14巻で解決される時も、注釈で「これは伏線でした」と教えてくれるので、ストーリーを追いやすかったです。
星の王子様/ サン・テグジュペリ
「いちばん大切なことは、目に見えない」
多くの言語に翻訳され、70年以上も読み継がれてきたこの物語は、まるで宝石のように大切にされています。
この物語は、飛行機が砂漠に不時着した際に出会った小さな男の子、つまり自分の星を離れ、いくつもの星を旅して地球にたどり着いた王子さまのお話です。
この本は、子どもから大人まで、世代を越えて多くの人々に愛され続けています。一度読むと、必ず宝物にしたくなるほど魅力的な物語です。
私は、初めて世界の冷たい無関心に気づきました。
箴言集/ラ・ロシュフコー
ラ・ロシュフコーの箴言は、愛や友情、勇気などの美しい言葉の裏に隠れた人間の自己中心的な考え方を、たった一行や二行で鋭く暴きます。
そのため、私たち読者は驚かされることが多々あります。
ラ・ロシュフコーは、人間の本質を追求するフランス文学の代表的な作家とされていますが、彼の箴言に魅了された人は、自分でも心に響く言葉を集めた箴言集を作りたくなるかもしれません。それほど、彼の言葉には強い力があると思います。
ボヴァリー夫人/ギュスターヴ・フローベール
美しい人妻が、夫の知らないところで恋愛に溺れ、悲しい結末を迎える物語です。
エンマという女性は、若い頃に恋愛小説をたくさん読み、ロマンチックな結婚を夢見ていました。夢を見すぎたかもしれません。
それは、彼女が結婚したのは退屈な田舎の医者で、新婚生活はすぐに飽きてしまいます。エンマは、その退屈さから逃れるために、ロドルフという魅力的な男性や若い青年レオンと不倫を始めます。
エンマはその結果、借金に追われ、最終的には毒を飲んでしまいます。この作品は、当時「道徳や宗教に対する侮辱」として裁判にかけられましたが、無罪となりました。
フランス文学の名作とされており、村のありふれた不倫の話を芸術的に描いた小説なのだと思います。
青い麦/シドニー=ガブリエル・コレット
幼い頃からの友人であるフィリップとヴァンカは、毎年、夏休みをブルターニュの海辺で一緒に過ごしていました。
彼らが16歳と15歳になった今年の夏は、これまでとは違う雰囲気でした。それは、お互いを異性として意識し始め、二人の関係が少しぎこちなくなってしまったのです。
そんな中、年上の美しい女性が現れ、二人の間に複雑な影を落とします。
この物語は、人生で三度結婚し、同性との恋愛も経験した作家コレットが、恋愛の微妙な心の動きを見事に描いた傑作です。
悲しみよこんにちは/フランソワーズ・サガン
セシルはもうすぐ18歳になる少女で、父親のレイモンとその恋人エルザと一緒に、南フランスの海辺で夏休みを過ごすことになります。
そこで、大学生のシリルと恋に落ちますが、父親の別の恋人アンヌが別荘にやってきます。父がアンヌと再婚しようとしていることに気づいたセシルは、そのことに悩み、ある計画を立てます。
この物語は、20世紀フランス文学の中で少女小説として特に有名で、長い年月を経て新たに翻訳されたものです。
南フランスの明るい太陽のもとで、セシルの胸に生まれる複雑な感情が描かれています。
ドゥマゴ文学賞受賞作品を電子書籍Kindleでお得に読む方法
kindle無料アプリをダウンロードして、もっとお得に読書してみませんか?
kindle無料アプリで、青空文庫も読めて、なおかつ新刊本なども無料で読みたいですよね。そんなときに便利なのがKindle Unlimitedです。
Kindle(電子書籍・キンドル本)を Unlimited(無制限)に読むことができます!
今なら30日間の無料体験も可能!重たい本に悩まされず、身軽で快適な読書ライフを体験してみませんか?
この機会に、好きな本を好きな場所で楽しむ新しいスタイルをぜひお試しください。
Kindle電子書籍は「本を買う」「本を借りる」両方のメリットを最大限に活用できることが魅力です。
>>電子書籍Kindle Unlimitedの口コミ・メリット・デメリットのご紹介
❝超お得な聴き・読み放題プラン❞
◆12万冊以上の小説やビジネス書、洋書などが聴き放題 ⇒ Audible
◆200万冊以上の洋書やビジネス書、小説などが読み放題 ⇒ Kindle Unlimited
※今なら30日間無料体験できます!
おすすめ:Kindle無料アプリのダウンロードで更に無料の「青空文庫」を読もう!>>
まとめ
ドゥマゴ文学賞歴代の受賞作品からおすすめ6選!選考委員は誰?について、以下の6つの事柄をご紹介しました。
毎年異なる選考委員が選ぶ個性的な作品は、文学の新たな可能性を示してくれますよね。
この賞を通じて、みなさんもきっと、忘れられない一冊との出会いが待っているはずです!
今後のBunkamuraドゥマゴ文学賞は、ますます多様な作品を発掘し、文学界を盛り上げてくれるでしょう。
あなたも、この文学賞とともに、文学の世界をもっと深く探求してみませんか?
気になる一冊があればぜひ読んでみてくださいね。