こんにちは、松風知里です。
5月の温かな陽射しと心地よい風が、私たちに新たなエネルギーを与えてくれる季節。
新緑が広がるこの時期、心を静かに解きほぐしてくれる本を手に取りたくなりますね。
でも、どの本を選べばいいのか迷っている方も多いのでは?
そこで今回は、大人の女性が共感できる5月に読みたい本を、文学賞受賞作の中から厳選してご紹介します。
忙しい日々の合間に、心に響く作品と出会い、心身ともにリフレッシュしてみませんか?
本記事では、5月にぴったりの作品を紹介するだけでなく、KindleやAudibleを活用すれば、すぐにお好きな作品を手に取ることができますよ。
5月に読みたい本は大人の女性におすすめの文学賞受賞作10選
「人生や愛、家族、自分自身」と向き合う時間をくれる信頼の文学賞受賞作を厳選しました。
現代女性のリアルな感情や生き方に寄り添い、時代を反映した名作が5月の新緑の季節に心に新たな風を吹き込んでくれます。
さあ、あなたも今年の5月に読みたい本リストから、心に響く一冊を見つけてくださいね
夜空に泳ぐチョコレートグラミー/町田そのこ
第15回 女による女のためのR-18文学賞 大賞
「自分らしく生きたい」「誰かの痛みに寄り添いたい」──そんな想いを胸に、ふと立ち止まりたくなる5月。
新しい季節に心を整えたいとき、大人の女性にそっと寄り添う一冊が『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』です。
町田そのこさんが描くのは、地方都市で日常に悩みながらも、前を向こうとする女性たちの姿。
誰かの痛みを理解するやさしさ、自分の弱さを肯定する勇気、小さな幸せに気づくまなざし──読後、ふっと心がほどけていくんです。
「自分を見つめ直したい」「優しい物語に触れたい」と感じたとき、きっとそばに置きたくなる本です。
町田そのこさん(1980年3月9日生まれ、福岡県出身)は小説家。理容師など多彩な職を経て、28歳で作家に転身。2016年『カメルーンの青い魚』でR-18文学賞大賞を受賞し、2017年にデビュー。2021年『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞。家族愛や孤独を温かく描く作風が魅力です。
泡の子/樋口六華
第48回 すばる文学賞 受賞作(2023年)
「終わってる世界で、それでも誰かと生きていたい」──そんな言葉に、思わず足を止めたあなたへ。
『泡の子』は、退廃した新宿・トー横を舞台に、壊れそうな日常を生き抜く少女たちの姿を描いた衝撃作です。
薬物、心中、偽りの絆……目を背けたくなる現実の中で、主人公ヒヒルと七瀬が掴もうとする“つながり”は、読む私たちの胸にも痛いほど刺さります。
5月、新年度の喧騒が落ち着いた今だからこそ、この作品に触れてほしいんです。
若い世代のリアルな声は、大人の私たちに「生きるって、なんだろう」と問いかけてきますし、感受性をそっと揺らしてくれるんですよね。
もし今、心に息苦しさを抱えているなら――『泡の子』のページを、そっと開いてみてください。
あなたの心にも、静かに波紋が広がるはずです。
樋口六華さん(ひぐち りっか、2007年茨城県生まれ)は、高校在学中の2024年に『泡の子』で第48回すばる文学賞を受賞し、17歳で21世紀生まれ初の同賞受賞者に。幼少期から文章を愛し、綿矢りさや村上龍らの作品に影響を受けています。
生きる演技/町屋良平
第41回 織田作之助賞 受賞作
「もう“わたし”を演じるのはやめたい」──そんなふうに思ったこと、ありませんか?
町屋良平の『生きる演技』は、元子役の生崎と“炎上俳優”笹岡、ふたりの高校生が文化祭の劇を通して「自分とは何か?」を問い続ける物語です。
5月、新生活の疲れや人間関係のズレを感じやすい今だからこそ、大人の女性にこそ読んでほしい一冊なんです。
社会や家族との距離感に悩んでいる方、「本音」と「建前」の間で揺れている方には、とくに響くと思います。
読むことで、自分の感情に正直に向き合うことの大切さや、過去の痛みをやさしく見つめ直す時間が生まれるはず。
歴史の重みを背負った舞台と、若さゆえの葛藤が交差するこの物語が、あなたに新しい視点と静かな勇気を届けてくれます。
町屋良平さんは、1983年東京都台東区生まれ。フリーターを経て小説執筆を始め、2016年『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞しデビュー。2019年『1R1分34秒』で第160回芥川賞を獲得し、その後も多数の文学賞に輝く、独特な文体と繊細な心理描写で現代日本文学を代表する作家です。
板上に咲く/原田マハ
第52回 泉鏡花文学賞 受賞作
春から初夏へと季節がうつろう5月。
心の奥にある“誰かと生きる”ということに、そっと目を向けたくなる時期ですよね。
そんなあなたに届けたいのが、原田マハさんの『板上に咲く MUNAKATA』。困難の時代を生き抜いた芸術家・棟方志功と、その夢を黙って支え続けた妻チヤの物語なんです。
夫婦の絆、愛の力、そして創作の情熱――読み終えたあと、胸の奥から温かい涙がふっとあふれてきます。
「私も誰かの力になりたい」…そんな気持ちが芽生える一冊。
家族やパートナーとの関係に悩んでいる方、芸術やものづくりが好きな方に、きっと届くはずです。
静かな午後、ぜひこの本と向き合ってみてくださいね。
原田マハさん(1962年7月14日生)は東京都小平市出身。関西学院大日本文学科、早稲田大美術史科卒業後、MoMAなどでキュレーターを務め2002年に独立。2005年『カフーを待ちわびて』で作家デビューし、『楽園のカンヴァス』などアート小説で高い評価を得ています。
甘い蜜の部屋/森茉莉
泉鏡花文学賞 受賞作
「誰にも触れられない、心の奥の“甘い蜜”を知っていますか?」──そんな問いかけから始まる『甘い蜜の部屋』は、大正時代の美少女・モイラの成長を、耽美な言葉でつづった長編小説です。
父との濃密な関係にとどまりながら、魔性と純粋さを併せ持つ彼女の内面が、まるで曇り硝子越しにゆっくりと立ち上がってくるんです。
泉鏡花文学賞受賞作であるこの作品は、心も新たに歩き出したくなる5月に、大人の女性にこそ読んでほしい一冊。
理解されない“自分だけの世界”を肯定したいと願うあなたに、そっと寄り添ってくれますよ。
どうか静かな時間に、この物語の扉を開いてみてください。
きっと、あなたの中にも“蜜の部屋”があることに気づくはずです。
森茉莉さん(もりまり)は1903年に東京本郷で森鴎外の長女として生まれ、仏英和高等女学校を卒業後、二度の結婚と離婚を経験しました。50歳を過ぎて随筆『父の帽子』で作家デビューし、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その後『恋人たちの森』『甘い蜜の部屋』などで独自の幻想的作風を築き、1987年に84歳で逝去しました。
東京島/桐野夏生
第44回 谷崎潤一郎賞 受賞作
新緑の風が心を揺らす5月──ふと「自分らしく生きるって、どういうことだろう?」と立ち止まりたくなる瞬間、ありませんか?
桐野夏生『東京島』は、そんな大人の女性の心に静かに問いかけてくる一冊です。
舞台は太平洋の孤島。31人の男と、たったひとりの女・清子。
女王のように崇められ、時に標的となりながらも、彼女は欲望や孤独、サバイバルの中で、自分の価値を手放さずに生き抜いていくんです。
「極限状態でむき出しになる人間らしさと女らしさ」、そのすべてを追体験するような物語は、社会の中で“自分らしさ”に悩むあなたに、大きな気づきを与えてくれるはず。
今こそ、清子の姿に自分を重ねて、新しい一歩を見つけてみませんか?
桐野夏生さん(きりの なつお)は1951年金沢市生まれ。1984年『愛のゆくえ』でデビュー後、1993年に江戸川乱歩賞、1997年に日本推理作家協会賞、1999年に直木賞を受賞。『グロテスク』『東京島』などで多数の文学賞を獲得し、2015年に紫綬褒章、2021年に日本ペンクラブ初の女性会長に就任しました。
ミーナの行進/小川洋子
第42回 谷崎潤一郎賞 受賞作
懐かしさとあたたかさに包まれる『ミーナの行進』は、兵庫・芦屋を舞台に、少女たちの心の交流や淡い恋、そして大人への一歩を描いた物語です。
とくに5月のこの季節に読むのがぴったりなんですよね。
新しい始まりを感じるこの時期にこそ、自分だけの宝物のような記憶や、日々の小さな幸せを思い出させてくれる一冊なんです。
家族や友人との絆にふと心がほどけたり、昔の自分にやさしく手を振れたり──そんな読書体験が、忙しい大人の女性にそっと寄り添ってくれると思うんです。
静かな午後に、あなたの心の中の“少女時代”をもう一度訪ねてみませんか?
小川洋子さんは1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。1988年『揚羽蝶が壊れる時』でデビュー、1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』などの代表作で数々の文学賞を重ねる、現代日本を代表する小説家です。
透光の樹/高樹のぶ子
第35回 谷崎潤一郎賞 受賞作
人生の後半に、もう恋なんて──そう思っていた心に、そっと火が灯るような物語があるんです。
高樹のぶ子さんの『透光の樹』は、25年ぶりに再会した男女が、理屈を超えて再び惹かれ合う恋を描いた、谷崎潤一郎賞受賞作。
舞台は静かな北陸の町。年齢や立場を越えて揺れる感情と、人生の一瞬の輝きが、詩のように美しく紡がれていきます。
とくに、大人の女性が5月という節目の季節に読むのにぴったりの一冊。
過去を抱えながらも、新たな愛や希望に気づける──そんな物語なんですよね。
若い頃の恋を思い出したい方、もう一度、自分の心に正直になりたい方へ。
静かな午後に、そっと手に取ってみてくださいね。
高樹のぶ子さん(本名:鶴田信子)は1946年山口県防府市生まれ。東京女子大短大卒業後、出版社勤務を経て福岡で創作活動を開始。1980年『その細き道』でデビューし、1984年『光抱く友よ』で芥川賞を受賞。その後も多数の作品を発表し、文学賞を重ねて日本芸術院会員として活躍しています。
おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子
2022年上半期 芥川賞 受賞作
「みんなと同じ」がしんどい──そんなふうに感じたこと、ありませんか?
芥川賞を受賞した『おいしいごはんが食べられますように』は、職場という日常のなかで、「食べること」を軸に、人と人との距離感や“ふつう”への違和感を繊細に描いた物語なんです。
真面目な押尾、守られがちな芦川、無関心な二谷。彼らのやりとりに、あなた自身の姿がふと重なるかもしれません。
とくに新年度が始まり、人間関係に疲れやすい5月──このタイミングで読むからこそ、自分の本音や価値観に気づき、「空気を読まなくてもいいんだ」と思えるはず。
「私だけじゃなかったんだ」と、心がふっと軽くなる一冊。
気になったら、どうぞそっと手に取ってみてくださいね。
高瀬隼子さん(たかせ じゅんこ)は、1988年愛媛県新居浜市生まれで、立命館大学哲学専攻卒業。2019年に「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。2022年には「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞。現代社会の人間関係を描く作風で注目されており、東京都在住。
推し、燃ゆ/宇佐見りん
2020年下半期 芥川賞 受賞作
「推しは、私の背骨だった。」──この言葉に、ふと心が揺れた方へ。
芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』は、現代の“推し活”に生きる高校生・あかりの物語。
居場所のない世界で、ただ「推す」ことだけを心の支えにしていた彼女が、突然その“推し”を失い、揺らぐ自分と向き合っていくんです。
5月、新生活も落ち着いてふと立ち止まる時期に、この作品は大人の女性にも深く響きます。
誰かを全力で応援したことがある方、生きづらさや孤独を抱えた経験のある方なら、きっとあかりの痛みとまっすぐさに共鳴するはず。
「私の“推し”って、何だろう?」そんな問いに導かれるように、心の奥を覗いてみたくなったら、この一冊を手に取ってみてくださいね。
宇佐見りん さんは、1999年生まれの日本の小説家で、静岡県沼津市出身。2019年に「かか」で第56回文藝賞を受賞しデビューし、同作で史上最年少で第33回三島由紀夫賞を受賞。2021年には「推し、燃ゆ」で第164回芥川龍之介賞を受賞。代表作に『かか』『推し、燃ゆ』『くるまの娘』があります。
▶文学賞から選ぶ、読み応えある作品を探している方へ
受賞作から見えてくる、物語の奥行きや作家の魅力を知りたい方にぴったりです。▶️ 織田作之助賞の歴代受賞作品から見るおすすめ受賞作10選
▶幻想と耽美の世界に惹かれる方へ
泉鏡花の精神を受け継ぐ作品たちが集う、特別な文学賞をのぞいてみませんか?▶️ 泉鏡花文学賞の歴代受賞作品と選考委員は誰?特徴やおすすめ本も
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受賞理由や背景を知ることで、作品がもっと身近に感じられます。▶️ 谷崎潤一郎賞2024の選考委員は誰?特徴や歴代受賞作品おすすめ7選
選書のポイント:文学賞受賞作を読む3つの理由

なぜ文学賞受賞作が5月にぴったりなのか?その魅力を、3つの視点でお伝えします。
①品質の保証
文学賞を受賞した作品は、どれもその美しい文章や巧みな構成が高く評価されたものばかりです。
たとえば、町田そのこさんの『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』は、主人公の繊細な心の動きがとても丁寧に描かれていて、物語を読み終わった後もその心情が深く胸に残ります。
まるで心の中にその世界が広がったかのような、そんな感覚を覚える作品です。
また、原田マハさんの『板上に咲く』も、芸術家の人生を豊かに描きながらも、物語としての引き込まれる力が強く感じられます。何度も読み返したくなるような、心に響く作品です。
②新しい視点との出会い
受賞作には、普段私たちが見逃しがちな視点を教えてくれる力があるんです。
たとえば、樋口六華さんの『泡の子』は、新宿・歌舞伎町という街で生きる若者たちの絆を鮮やかに描き出し、『東京島』では、極限の状況下で見せる女性の強さや、社会の中でのジェンダーの問題について深く考えさせられます。
こうした作品は、私たちの日常ではなかなか触れることのない視点を、優しく私たちに届けてくれるんですよ。
③読後の会話のきっかけ
本を読んだ後に感想をシェアすることは、思わぬ発見や共感を生み出しますよね。
たとえば、町屋良平さんの『生きる演技』を読んだ後には、「自分はどんな場面で役を演じているんだろう?」と、友人とそんな会話を交わしてみたくなります。
小川洋子さんの『ミーナの行進』を読んだときには、子どもの頃の思い出や家族とのエピソードを懐かしく語り合うことができるかもしれません。
読後の会話が、作品をもっと深く感じさせてくれる瞬間。
それがまた、本を読む楽しみの一つだと思います。
📖 そのほかの季節にも、心に寄り添う一冊があります。月ごとのおすすめ本をまとめたこちらの記事も、ぜひのぞいてみてくださいね。👉 季節の本おすすめ|大人の女性へ贈る12か月の物語まとめ
今すぐ読むためのステップ:Kindle&Audible活用ガイド

手軽に5月の読書を始めるための3ステップをご紹介します。
① Kindleアプリをダウンロード
スマホやタブレットにインストールすれば、すぐに読みたい本を手元で楽しめます。
▶Kindle無料アプリのダウンロード方法に迷ったら >>Kindle無料アプリの使い方やダウンロードして青空文庫を無料で読む方法も
② 30日間無料体験に登録
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▶Kindle Unlimitedの詳しい使い方や料金プラン、解約手順を知りたい方はこちら
Amazon Kindle Unlimitedの使い方・料金・解約方法を徹底解説!初心者向けガイド
Audible:耳で楽しむオーディオブック。プロナレーターの声で物語に没入し、通勤中や家事の合間の“ながら読書”を可能にします。
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▶Audible初心者さん向けマニュアルはこちら
Amazonオーディブル完全マニュアル【2025年版】|無料体験期間・メリット・解約手順
③ 5月に読みたい本を検索して即ダウンロード
本記事のリストを参考に、気になる一冊をすぐに手に入れましょう。
▶あなたにぴったりの恋愛小説、見つけましたか?年代別におすすめの作品を厳選しました。年齢を重ねるごとに変わる感情に寄り添う、大人向け恋愛小説をご紹介します。>>年代別まとめ 20代〜60代女性に響く|共感できる大人向け恋愛小説特集
まとめ
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』が静かに孤独に寄り添い、『泡の子』がそっとかすかな絆を照らし、『生きる演技』があなたの一歩を後押ししてくれます。
『板上に咲く』の挑戦や、『甘い蜜の部屋』の美しい余韻、『東京島』の力強さ、『ミーナの行進』の記憶、『透光の樹』の再会。
『おいしいごはんが食べられますように』の本音、『推し、燃ゆ』の強さ――
どの本も、あなたの心に寄り添い、新しい気づきや温かなひとときを届けてくれます。
忙しい日常の中で、5月の風と共に、自分だけの読書旅を始めてみましょう。
今すぐ、一歩踏み出してみませんか?
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