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谷崎潤一郎を読む順番は?初心者向けおすすめ作品と文体・作風の特徴

谷崎潤一郎を読む順番は?初心者向けおすすめ作品と文体・作風の特徴 作家・作品ガイド
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「谷崎潤一郎を読んでみたい。でも、どれから読めばいいんだろう?」

作品が多い作家ほど、最初の一冊で迷いますよね。

『痴人の愛』『細雪』『春琴抄』。

名前は知っているけれど、「いきなり長編は難しいかも」と感じる方もいると思います。

先に結論を言うと、初めて谷崎潤一郎を読むなら、私は次の3冊の順番をおすすめします。

『刺青』→『痴人の愛』→『細雪』

短編から始めて、谷崎らしい男女の関係へ入り、最後に大きな長編へ。

この順番なら、無理なく谷崎文学の幅に触れやすいんです。

一方で、「谷崎の作風がどう変わったのかを味わいたい」という方には、刊行年代に沿って読む方法が合います。

この記事では、

  • 初心者におすすめの読む順番
  • 目的別の作品
  • 読みやすい作品
  • 刊行年代に沿った読み方
  • 谷崎潤一郎の文体・作風の特徴

をまとめます。

全部を読む必要はありません。

まずは「これなら読めそう」と思える一冊を見つけてみてくださいね。

谷崎潤一郎を初めて読むならこの3冊

初めて谷崎潤一郎を読むなら、短編から長編へ少しずつ世界を広げていくと入りやすいです。

ここでは、谷崎文学の魅力を無理なく味わえる3作品を、読む順番に沿って紹介します。 

順番作品おすすめする理由
1刺青短く、谷崎らしい「美」と支配を味わえる
2痴人の愛物語として読みやすく、谷崎の女性像がよくわかる
3細雪家族・四季・関西文化まで谷崎の大きな世界を味わえる

この3冊だけでも、「谷崎潤一郎って、こんなに違う作品を書く人なんだ」と感じられると思います。

1冊目『刺青』|短編から谷崎の美に触れる

最初の一冊には『刺青』がおすすめです。

1910年に発表された初期の代表作で、谷崎が文壇へ登場するきっかけとなった作品の一つです。

刺青師・清吉と、一人の女性。

短い作品の中に、美、痛み、支配、女性への崇拝といった、のちの谷崎につながる要素が凝縮されています。

長編を読み切れるか不安な方でも入りやすいんですよね。

こんな方におすすめ:
短編から試したい/美しいけれど少し妖しい作品が好き

読後に残るもの:
「美しいものには力がある」という、少し怖い感覚

2冊目『痴人の愛』|物語として面白い谷崎へ

次におすすめしたいのが『痴人の愛』です。

主人公の譲治は、若いナオミを自分の理想の女性へ育てようとします。

ところが、いつの間にか立場は逆転。

譲治の方がナオミに翻弄されていきます。

1924年から1925年にかけて発表された作品で、関東大震災後のモダンな文化や、西洋への憧れも強く映っています。

「自分が相手を変えるつもりだったのに、自分の方が変えられてしまった」

恋愛の中では、案外そんなこともあるんですよね。

時代は違っても、人間関係の滑稽さには、どこか今にも通じるものがあります。

こんな方におすすめ:
ストーリーを楽しみたい/恋愛や男女の心理を描いた作品が好き

読後に残るもの:
愛することと、支配されることの不思議な近さ

3冊目『細雪』|谷崎の世界へゆっくり浸る

3冊目は『細雪』。

大阪・船場にルーツを持つ蒔岡家の四姉妹を描いた長編です。

食事、着物、花見、見合い。

一見すると大きな事件のない日常なのに、読み進めているうちに四姉妹の暮らしの中へ入ってしまう。

そんな小説です。

戦時中に執筆が続けられ、1948年に完成しました。

長いので、最初から無理に急ぐ必要はありません。

四姉妹と一緒に季節を過ごすくらいの気持ちで読むのが合う作品だと思います。

こんな方におすすめ:
家族小説が好き/四季や暮らしの描写をじっくり味わいたい

読後に残るもの:
変わっていく時代の中で、失われていく暮らしへの愛おしさ

文体の美しさを味わいたいなら『春琴抄』

「谷崎潤一郎の文章そのものを味わいたい」

という方には、『春琴抄』もおすすめです。

盲目の三味線師匠・春琴と、彼女に仕える佐助。

愛なのか、崇拝なのか、服従なのか。

簡単には言葉にできない関係が、端正な文章で描かれます。

1933年に発表された古典回帰期の代表作です。

短めなので、『刺青』の次にこちらを読んでもいいと思います。

谷崎潤一郎を作風の変化に沿って読む順番

「せっかくなら、谷崎が変わっていく過程を味わいたい」

そんな方には、年代順がおすすめです。

1.『刺青』

まず初期の耽美的な美と女性崇拝へ。

↓

2.『秘密』

女装、変装、秘密への欲望を描いた短編。

↓

3.『痴人の愛』

関東大震災後のモダンな文化と、ナオミという強烈な女性へ。

↓

4.『卍』『蓼喰ふ虫』

恋愛や夫婦関係をさらに複雑なところまで追いかけます。

↓

5.『春琴抄』

日本文化や古典美へ傾いていく谷崎を味わいます。

↓

6.『細雪』

家族と関西文化を描いた大長編へ。

↓

7.『鍵』『瘋癲老人日記』

最後は、老いと欲望を描く晩年の谷崎へ。

この順番で読むと、「西洋に憧れていた作家が、日本の美へ戻り、最後には自分自身の老いにまで筆を向けた」という大きな流れが見えてきます。

年表と作品を照らし合わせながら読みたい方はこちらもどうぞ。
▶谷崎潤一郎の作品・年表一覧|代表作と作風の変遷を時代順に解説

谷崎潤一郎の読みやすい作品は?

初めて読む方のために、読みやすさからも整理してみます。

作品長さ入りやすさこんな人へ
刺青短い◎初めて谷崎を読む
秘密短い◎妖しい短編が好き
春琴抄短〜中○美しい文体を読みたい
痴人の愛長め○ストーリー重視
猫と庄造と二人のをんな中◎少しユーモラスな作品がいい
細雪長い○家族小説へ浸りたい
鍵中○心理戦が好き
瘋癲老人日記中○晩年の谷崎に触れたい

「文豪だから難しい」と思っていた方には、まず『刺青』『秘密』のような短編がおすすめです。

長さへの抵抗がなくなってから、長編へ進んでも遅くありません。

初期作品をもっと読みたいなら

初期の谷崎潤一郎には、美しさや秘密、欲望への強い関心が色濃く表れています。

短編を中心に、少し妖しく危うい谷崎文学の入口をたどってみましょう。 

『秘密』

刺激に飽きた主人公が、寺に身を隠し、変装や女装にのめり込んでいく物語です。

タイトルどおり、「知ってはいけないものほど知りたくなる」という人間の欲望が描かれています。

短編なので、『刺青』の次にも読みやすい一冊です。

『人魚の嘆き』

幻想的で、異国への憧れが濃く漂う作品。

現実から少し離れた、夢のような谷崎を読みたいときに向いています。

「谷崎=痴人の愛」というイメージから少し外れた一面を知れる作品でもあります。

愛の危うさをもっと読みたいなら

『卍』や『蓼喰ふ虫』では、好きという気持ちだけでは整理できない、複雑な愛や執着が描かれています。
少し危うい人間関係まで踏み込んで読みたい方に向く作品です。

『卍』

女性同士の関係を中心に、夫も巻き込まれていく複雑な愛の物語。

愛情、嫉妬、嘘。

誰が誰を支配しているのか、読み進めるほどわからなくなってきます。

人間関係がねじれていく小説が好きな方には、かなり印象に残ると思います。

『蓼喰ふ虫』

夫婦の関係がすでに冷えているのに、簡単には離婚へ踏み切れない。

そんな夫婦を描いた作品です。

派手な物語ではありません。

でも「気持ちは離れているのに、生活は続いている」という曖昧さが、とても現代的に感じられることもあります。

晩年の谷崎を読みたいなら

晩年の谷崎潤一郎は、老いのなかでも消えない欲望や、人間の心の揺れを鋭く描きました。
『鍵』や『瘋癲老人日記』から、若いころとはまた違う谷崎文学を味わってみましょう。

『鍵』

年老いた夫と妻が、それぞれ日記を書きます。

しかも、その日記を相手が読むかもしれないと知りながら。

本音を書いているようで、本当かどうかわからない。

日記という形式を使った心理戦が面白い作品です。

『瘋癲老人日記』

老いた身体と、それでも消えない欲望。

晩年の谷崎が、長く書き続けてきたテーマを「老い」という場所から見つめた作品です。

若いころの『刺青』からここまで来ると、「谷崎はずっと人間の欲望を書いていたのかもしれないな」と感じます。

谷崎潤一郎の文体・作品の特徴

谷崎潤一郎の作品には、美しさへの強いこだわりと、人の欲望や関係の揺れが繰り返し描かれています。
文体と作品の特徴を知ると、それぞれの物語が少し違った角度から見えてくるんです。

1.五感で感じる美しさ

谷崎の文章には、光や影、肌、衣装、食べ物、匂いまで、五感に触れる描写がたくさんあります。

読むというより、作品世界の中にいるような感覚になることがあるんです。

とくに『細雪』や『陰翳礼讃』では、その美意識を強く感じられます。

2.強い女性と、翻弄される男性

『痴人の愛』のナオミ。

『春琴抄』の春琴。

谷崎作品には、強い存在感を持つ女性と、その女性を崇拝したり、翻弄されたりする男性が繰り返し登場します。

これは初期から晩年まで続く、大きな特徴の一つです。

3.西洋への憧れから日本の美へ

若いころの谷崎は、都会や西洋文化への強い憧れを持っていました。

ところが関西へ移住したあと、日本の古典や伝統文化へ目を向けるようになります。

国立国会図書館も、この関西移住を谷崎文学の大きな転換点として紹介しています。

だからこそ、刊行年代に沿って読むと面白いんですよね。

途中で読みにくくなったら、一冊戻っても大丈夫

名作だから最後まで読まなくてはいけない。

そんなふうに思うと、読書が少し苦しくなることがあります。

『細雪』が長いと感じたら、『刺青』へ戻ってもいい。

『春琴抄』の文体が少し難しければ、『痴人の愛』を先に読んでもいい。

読む順番は、守るためのルールではありません。

自分が次のページをめくりやすくするための道しるべくらいでいいんです。

谷崎潤一郎本人の人生や、作品の背景になった人間関係が気になった方はこちらもどうぞ。
▶谷崎潤一郎はどんな人?兄弟・妹や3人の妻、ナオミのモデル・娘の鮎子まで

Kindleや電子書籍も、自分に合う入口として

重い文庫や長編を持ち歩くのが大変なときは、電子書籍で読むのも一つの方法です。

作品や版によって配信状況は異なるので、まずサンプルを開いて、文章との相性を確かめてみるのもいいと思います。

Kindle Unlimited対象になっている本があれば、読み放題から試してみる方法もあります。
▶Amazon Kindle Unlimitedとは?料金・解約・使い方を初心者向けに解説

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まとめ|谷崎潤一郎を読む順番に迷ったら『刺青』から

初めて谷崎潤一郎を読むなら、

『刺青』→『痴人の愛』→『細雪』

を、まず一つの道しるべにしてみてください。

短編から始めて、男女の危うい関係へ入り、最後に家族と四季を描く大きな物語へ。

3冊だけでも、谷崎潤一郎という作家の幅がよく見えてきます。

そして「もっと知りたい」と思ったら、『春琴抄』『卍』『鍵』へ。

順番どおりに全部読まなくても大丈夫です。

本との出会いは、その日の自分に合う一冊から始まることも多いんですよね。

まずは「これなら開けそう」と思った作品から、谷崎文学の扉をのぞいてみてくださいね。

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