直木賞候補作となった『Nの逸脱』で注目を集めている作家・夏木志朋さん。
この記事では、夏木志朋さんの経歴や読み方、異色の作家人生、そして代表作や新刊までをやさしくご紹介します。
心に残る物語を探しているあなたへ──その一歩をそっと、ここからご案内しますね。
📚関連記事もあわせてチェック!
「Nの逸脱って本当にすごいの?」──そんなふうに思われた方には、こちらの記事もおすすめです。
▶第173回 芥川賞・直木賞の候補作まとめ|2025年上半期のノミネート作品を徹底紹介!
候補作全体を知ることで、夏木志朋さんの位置づけも見えてきます。
▶芥川賞と直木賞の違いはなに?どっちがすごい?両方ノミネートはできるかも調査
文学賞の仕組みを知っておくと、作品の読み方も変わってくるんです。
▶純文学と大衆文学の違いと特徴は?わかりやすく見分ける方法と作品も!
ジャンルに迷ったときのヒントになりますよ。|2025年上半期のノミネート作品を徹底紹介!
夏木志朋さんってどんな作家?読み方と簡単プロフィールから

まずは気になる名前の読み方ですが、「夏木志朋(なつき・しほ)」さんと読みます。
1989年生まれ、大阪府出身です。
大阪市立第二工芸高校の夜間部で学びながら、昼間は働く日々を送られていました。
卒業後は宅建資格を取得して不動産会社へ。
しかし実務に苦手意識があり、上司に言われて書いた「営業トークの台本」が、思いがけず文章力を褒められるきっかけになったんですね。
「伝えるって、面白いかもしれない」
そう思ってライター養成講座へ通い始め、さらに「もっと深く書きたい」と思うようになって大阪文学学校へ。
そこで生まれたのが、のちに15万部を超えるベストセラーとなったデビュー作『ニキ』(文庫版『二木先生』)だったんです。
直木賞候補作『Nの逸脱』のあらすじと魅力を解説

直木賞候補作となった夏木志朋さんの『Nの逸脱』は、「常緑町」という架空の街を舞台にした連作短編集。
どの物語も、ふだんの生活のすぐそばにある“違和感”や“歪み”が、ほんの少し現実から外れた出来事として描かれていきます。
爬虫類ショップで働く青年がトカゲを守ろうとして事件に巻き込まれる「場違いな客」
満員電車での出会いをきっかけに暴走する教師を描く「スタンドプレイ」
占い師と弟子の関係が不穏に揺れる「占い師B」
いずれも、登場人物たちが日常の中でぎりぎりの心のバランスを保ちながらも、ふとしたきっかけで“逸脱”してしまう姿が、緊張感とともに丁寧に描かれています。
リアルとミステリーが絶妙に溶け合い、読み進めるほどに心の奥をじわじわと揺らされるような感覚が残る本作は、桐野夏生さんや黒川博行さん、文芸評論家の三宅香帆さんなど、各界の推薦者も納得の一冊。
また、声優の斉藤壮馬さんやお笑い芸人の永野さんといった、文学ファン以外の異色の読者からも熱い支持を集めており、まさに“今年の話題作”と呼ぶにふさわしい存在です。
心に静かに残る余韻とともに、「自分の中にもこういう感情があるかもしれない」と気づかされるような──そんな読後感を求める方に、ぜひおすすめしたい作品です。
夏木志朋の経歴と作風の魅力|『二木先生』が生まれるまで

夏木志朋さんの魅力は、ただ文章が上手いだけではなくて、ご自身の歩んできた“道のり”そのものが、作品に豊かさを与えているところなんですよね。
工芸高校での制作体験や、不動産会社での葛藤、ライター講座で感じた違和感──それらが積み重なって、「誰かの心に伝わる小説を書きたい」という願いに結びついていったんです。
デビュー作の『ニキ』(のちの『二木先生』)は、そんな夏木志朋さんの初期衝動がたっぷり詰まった一冊。
「自分は“普通”になれない」と悩む人々の姿が描かれていて、読む人の心をそっと撫でてくれるような優しさがあるんですよ。
夏木志朋の代表作・新刊紹介|『Nの逸脱』から読む順番も解説
読む順番に正解はありませんが、関心のあるテーマや切り口によっておすすめは変わってきます。
◆今話題の作品を楽しみたい方は…『Nの逸脱』からスタート。 ミステリアスな空気感と社会性を兼ね備えた直木賞候補作で、夏木志朋さんの“今”が詰まった一冊です。
◆作家としての原点に触れたい方は…『二木先生』から。 自分らしく生きづらさを抱える人へのまなざしが印象的で、夏木志朋さんの出発点を味わえます。
◆物語としての“面白さ”を追求したい方には…『ゲーム実況者AKILA』もおすすめ。 エンタメ性が強く、気軽に読み始めたい方にぴったりです。
どこから読んでも楽しめる作品ばかりですが、こうした視点から読む順番を選ぶと、より自分に合った一冊に出会えるかもしれませんね。
デビュー作『二木先生』から直木賞候補作『Nの逸脱』、そして最新作までをコンパクトにご紹介します。それぞれの魅力をお伝えしますね。
【1】二木先生
(2022年/ポプラ社)
「“普通”になれない苦しさ、あなたにも覚えがありますか?」
夏木志朋さんの『二木先生』は、そんな思いを抱えてきた方に、そっと寄り添ってくれる物語なんです。
主人公は「変」と言われる高校生・田井中。
異星人のように感じる日々の中で出会ったのが、美術教師・二木先生。
でも、その先生にも秘密があって──。
揺れ動く心と心の駆け引きが、静かでスリリングに展開していきます。
この作品は、デビュー作『ニキ』を文庫化・改題し、15万部を超えるベストセラーとなった注目作でもあります。
「自分を好きになれない」そんなあなたに、ぜひ一度手に取ってほしい一冊。
読後にはきっと、やわらかな余韻と小さな勇気が残るはずです。
【2】Nの逸脱
(2025年/ポプラ社)
「誰もが“フツウ”の仮面をかぶって生きている。でも、そのすぐ隣に“逸脱”は潜んでいる」──夏木志朋さんの短編集『Nの逸脱』は、第173回直木賞候補作にも選ばれた話題作。
架空の町・常緑町を舞台に、日常の中で少しずつズレていく3つの物語が描かれています。
トカゲを守ろうとする青年、感情を抑えきれない教師、そして占い師とその弟子。
それぞれの“逸脱”が、私たちの日常にもそっと重なってくるんですよね。
読みごたえのある中・短編集として、幅広い読者に支持されているのも納得です。
「普通」ってなんだろう。そう問いかけながら読むことで、自分や他人の弱さに少しやさしくなれるような、そんな読後感が残ります。
まずは一編だけでも、そっと手に取ってみてくださいね。
【3】ゲーム実況者AKILA
(2025/スターツ出版) 最新刊。
「孤独な夜に、誰かとつながりたかった──」
そんな想いを抱えた少年・周助が、“底辺ゲーム実況者AKILA”として静かに配信を続ける日々。
誰にも気づかれなかった彼の声が、一枚のファンアートによって、少しずつ世界と交わりはじめます。
嘘、すれ違い、本当の自分を見せることの怖さ──それでも誰かとつながろうとする心に、きっとあなたも共鳴するはず。
最新刊『ゲーム実況者AKILA』は、エンタメ性と人物造形が絶妙に絡み合った、共感を呼ぶ青春小説。
もし今、誰にも言えない孤独や不安を抱えているのなら──この物語に、そっと触れてみませんか。
ページをめくるその一歩が、新しい自分へのはじまりになるかもしれません。
夏木志朋の作品はKindleで読める?購入方法も解説

夏木志朋さんの作品は、Amazon Kindleでも配信されています。とくに『Nの逸脱』は直木賞候補作ということもあり、今ならレビューも多く参考になります。
紙の本でじっくり読みたい方にも、電子書籍で気軽に読みたい方にも、それぞれにぴったりのスタイルがあります。
さらに詳しくKindleの仕組みを知りたい方は、こちらもどうぞ!
▶ Amazon Kindle Unlimitedの使い方・料金・解約方法を徹底解説!初心者向けガイド
また、音で楽しむ読書を試してみたい方には、こちらもおすすめです。
▶ Amazonオーディブル完全マニュアル【2025年版】|無料体験期間・メリット・解約手順
夏木志朋『Nの逸脱』の感想とまとめ|直木賞候補作の読後に
一見するとただのエンタメ小説。
でもその裏には、誰にも言えない痛みや、言葉にならない願いが、そっと描かれている──。
夏木志朋さんの小説には、そんな“寄り添う力”があるんです。
日常のすきま時間に、ちょっと心をほどくように読んでみてくださいね。
あなたの心に、ふっとやさしい風が吹きますように。