放課後の図書室。窓から差し込む夕日が、本棚の背表紙をやさしく照らしていました。
そんな時間にふと、「何か面白い文学作品を読みたいな」と思ったこと、ありませんか?
でも 「名作って難しそう」「最後まで読めるか不安」…そんな気持ち、よくわかります。
私も中学生の頃は、ページを開いてもなかなか進まないことがあったんです。
この記事では、日本の有名な文学作品の中から、中学生でも読みやすくて心に残る傑作を10冊ご紹介します。
あらすじや魅力だけでなく、読書セラピストの視点で「読後にどんな気づきや癒しがあるか」もお伝えしますので、きっと“今のあなた”にぴったりの一冊が見つかりますよ。
中学生が感じる読書の悩みを具体化

中学生の読書の悩みで多いのはこんな声です。
- 「読書感想文のために名作を選びたいけど、どれがいいのかわからない」
- 「有名な文学作品に挑戦したいけど、途中で挫折しそう」
- 「文字ばかりで疲れてしまうから、できれば読みやすい作品がいい」
せっかく読むなら、義務感ではなく物語に引き込まれる時間にしたいですよね。
読みやすい名作を選べば、最後まで読み切れた達成感が自信にもつながります。
読みやすい文学作品で悩みを解決

そんな時こそ、本の力を借りてみませんか?
文学作品は、物語を楽しむだけでなく、自分の感情や考え方を深めるきっかけにもなります。
登場人物の気持ちに寄り添ったり、自分の経験と重ね合わせたり…ページを閉じても心に残るんですよね。
さらに、KindleやAudibleを使えば、無料体験で気軽に名作に触れることが可能です。
紙の本が苦手なら、文字サイズを変えて読んだり、耳で聴きながら散歩や家事をすることもできます。
中学生におすすめの文学作品|日本の有名な名作から読みやすい10選
中学生でも無理なく読める「文学作品おすすめ」を、日本の有名な文学作品の中から厳選しました。
初めてでも物語に入り込みやすく、感想文や自主読書にもぴったりな名作ばかりです。
あらすじやおすすめポイントに加えて、読後にどんな気づきがあるかもお伝えしますね。
走れメロス/太宰治
友を信じ、信じられる喜び──そんな熱い想いを知りたくなったら、『走れメロス』がおすすめです。舞台は古代の架空都市。
親友の命と引き換えに、自らの約束を守るため全力で走るメロスの姿に、胸が熱くなるんです。
中学生のうちに読むことで、「信じる勇気」と「約束の重さ」を肌で感じられます。
裏切りや疑いのない真っすぐな心は、今のあなたにも力をくれるはず。
友情を大切にしたい方、感動で心を震わせたい方に。
まずは1ページ、めくってみませんか?
太宰治(本名・津島修治)は1909年青森県金木村の大地主の家に生まれました。弘前高等学校入学後、東京帝国大学仏文科に渡り、文学活動を始めます。生涯自殺未遂や左翼運動など波乱の人生を送り、1948年に自殺しました。代表作に『人間失格』『斜陽』などがあります。
👉太宰治という作家についてもっと知りたい方はこちらへ → 太宰治ってどんな人?人気の理由と作風・代表作をわかりやすく解説【人物と作品まとめ】
野菊の墓/伊藤左千夫
淡くて切ない初恋の情景を味わいたいなら、『野菊の墓』がぴったりです。
舞台は明治時代の田舎町。
いとこ同士の政夫と民子が心を通わせながらも、周囲の反対により引き裂かれていく物語です。
中学生で読むことで、純粋な想いと社会の厳しさ、そのはざまで揺れる心を感じ取れます。
読み終えた後に残るのは、儚くも美しい愛の余韻。
恋愛小説が初めての方、情景描写で心を動かされたい方におすすめです。
静かな時間に、この物語をそっと開いてみませんか。
伊藤左千夫(1864-1913)は千葉県生まれの歌人・小説家。乳業経営をしながら短歌に思いを馳せ、正岡子規に師事。子規没後は『馬酔い木』『アララギ』を創刊、近代短歌の中心となり、小説『野菊の墓』などを発表した。
学問のすゝめ/福沢諭吉
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」──この一節に心が動くなら、『学問のすゝめ』を手に取ってみませんか。
明治時代、日本の近代化を背景に書かれたこの本は、学びの大切さと、自ら道を切り開く力を説きます。
中学生のうちに読むことで、勉強は未来を変える武器という実感が芽生えます。
努力することの意味や、自立する喜びを知りたい方にぴったり。
まずは気軽に読んでみましょう。

福沢諭吉(1835-1901)は大分県中津藩出身の啓蒙思想家・教育者で、蘭学を学んだ後、慶應義塾(現・慶應義塾大学)を見据え、『学問のすゝめ』を著すなど日本近代化に貢献しました。
破戒/島崎藤村
差別や偏見に立ち向かう勇気を知りたいなら、『破戒』がおすすめです。
舞台は明治時代の信州。
被差別部落出身であることを隠して教師になった丑松が、信念と世間の壁の間で苦悩する姿が描かれます。
中学生で読むことで、「自分らしく生きるとは何か」という問いが心に残ります。
恐れよりも正直さを選ぶ力、人の痛みを理解する優しさを学べる一冊。
人権や社会問題に関心がある方に。
静かな夜に、この物語のページを開いてみませんか。
島崎藤村は1872年に岐阜県中津川市馬籠で生まれた詩人・小説家です。 明治学院を卒業後、教職に就きながら詩や小説を発表し、自然主義文学の代表作『破戒』などを著しました。1943年に先立つまで、日本文学に大きな影響を与えました。
▶島崎藤村をもっと知りたい方はこちらの記事も面白いですよ
☛島崎藤村とはどんな人?代表作と人生から知る自然主義文学の魅力
注文の多い料理店/宮沢賢治
ちょっと不思議で、少し背筋がぞくっとする物語を味わいたいなら、『注文の多い料理店』がおすすめです。
舞台は山奥の洋館。
狩りに訪れた二人の紳士が、次々と奇妙な注文を突きつけられる不思議な出来事に巻き込まれます。
中学生で読むと、物事の裏にある意味や、人間の欲深さに気づけるんです。
短編なので読みやすく、読後はじんわり考えさせられる余韻が残ります。
ファンタジーやちょっと怖い話が好きな方、ぜひこの扉を開いてみませんか。
宮沢賢治(1896–1933)は、岩手県花巻市出身の詩人・童話作家。盛岡高校等農林学校卒業後、農学校教師活動や農業指導者としてもし、仏教思想に傾倒。
蜘蛛の糸/芥川龍之介
一筋の糸が生死を分ける──そんな緊張感あふれる短編が、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』です。
舞台は極楽と地獄。
地獄で苦しむカンダタが、極楽から垂れた一本の蜘蛛の糸を必死によじ登りますが、欲や利己心が行く手を阻みます。
中学生で読むことで、人間の弱さと同時に、思いやりや謙虚さの大切さを感じられます。
わずか数ページで深いテーマに触れられる名作。
短い時間で心に響く文学作品を読みたい方に、ぜひおすすめです。
芥川龍之介は1892年東京生まれの小説家で、東京帝国大学英文科を卒業。学生時代から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石に絶賛され文壇デビュー。のちに英語教師や新聞社勤務を経て専業作家となり、代表作に「羅生門」「藪の中」などがある。
坊っちゃん/夏目漱石
正直すぎて損ばかり──そんな主人公に共感したら、『坊っちゃん』をぜひ。
舞台は明治時代の松山。
東京から赴任した新米教師が、ずる賢い同僚や生徒相手に真っ向勝負を挑みます。
中学生で読むと、「正直であることの強さ」と「世渡りの難しさ」の両方を学べるんです。
テンポの良い会話とユーモアたっぷりの描写で、文学がぐっと身近になります。
笑えて元気が出る日本文学の名作を探している方に。
放課後のひとときに、ページをめくってみませんか。
夏目漱石(1867年〜1916年)は、江戸生まれの日本の小説家・英文学者です。東京帝国大学英文科卒業後、松山中学などで英語教師を務め、1900年にイギリスへ留学。帰国後は帝国大学の講師となり、1905年に『吾学生は猫である』を発表し文壇に大きな影響を与えました。
屋根裏の散歩者/江戸川乱歩
日常のすぐ上に、こんな秘密の世界が広がっていたら──『屋根裏の散歩者』は、そんな想像をくすぐる江戸川乱歩の名作です。
舞台は大正時代の東京。
退屈しのぎに屋根裏を伝って他人の部屋を覗き見する青年が、やがて殺人事件に巻き込まれていきます。
中学生で読むと、「好奇心」と「一線を越える怖さ」の境界を実感できます。
謎解きやスリル、少し不気味な空気が好きな方にぴったり。
静かな夜、物音に耳を澄ませながら読んでみませんか。
江戸川乱歩(本名:平井太郎)は1894年生まれの日本の独立作家で、主に大正から昭和期に活躍しました。 早稲田大学政治経済学部卒業後、様々な職を経て1923年に作家デビュー。
城の崎にて/志賀直哉
死と向き合う静かな時間を描いた短編──それが志賀直哉の『城の崎にて』です。
舞台は兵庫県・城崎温泉。
事故で生死の境をさまよった主人公が湯治のため滞在し、川で見た小さな生き物の死を通して命の儚さを見つめます。
中学生で読むと、生きること、死ぬことを自分事として考えるきっかけになります。
静かで透明感のある文章が心に染み、読後に深い余韻を残す名作。
物思いにふけりたい夜、そっと開いてみませんか。
志賀直哉は1883年、宮城県石巻町生まれ。学習院を経て東京帝国大学文学部英文科に入学するも中退し、白樺派の代表的な小説家となる。代表作に『暗夜行路』『城の崎にて』などがあり、「小説の神様」と称された。文化勲章も受章し、1971年に没した。
伊豆の踊子/川端康成
旅先での出会いと別れの切なさを味わえるのが、川端康成の『伊豆の踊子』です。
舞台は大正時代の伊豆半島。
若い学生が旅芸人の少女と心を通わせながらも、やがて訪れる別れを静かに受け入れます。
中学生で読むと、純粋な感情や人との距離感、旅の中で感じる成長を実感できます。
美しい情景描写と淡い恋心が胸に残る青春文学の名作。
出会いを大切にしたい方や、旅情を味わいたい方に。
静かな午後、この物語に身をゆだねてみませんか。
川端康成は1899年大阪市生まれ。幼くて両親を亡くし孤児に。東京帝国大学文学部を卒業後、新感覚派作家として活躍。代表作に『伊豆の踊子』『雪国』など。1968年日本人朗読ノーベル文学賞を受賞し、1972年に逗子で自ら命を絶ちました。
👉川端康成についてもっと知りたい方はこちら → 川端康成とはどんな人?生涯・代表作・受賞歴・家族・文学賞を総まとめ
👉 生きづらさや迷いを感じたときに助けになる本を知りたい方は → 生きる意味がわからない時に読む本|生きづらさ・迷い・不安を抱えるあなたを救う物語【年代別】
Kindle・Audibleで読むとさらに楽しめる

紙の本も良いですが、Amazon Kindle Unlimited や Audible を使うと、より手軽に名作を楽しめます。
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👉 初めての方はこちらを参考にどうぞ
文学作品を読んだ後は感想を残してみませんか?

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特に学生さんは、感想文や授業での発表にも役立ちますよ。
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まとめ
文学作品は、ただの“課題図書”ではなく、あなたの心を豊かにしてくれる宝物です。
今回ご紹介した10冊の中から、まずは気になる1冊を選んでみませんか?
「読むのが大変そう…」と思っても、KindleやAudibleなら途中でやめても大丈夫。
何度でも挑戦できます。
もしかすると、その一冊が、これからのあなたの人生をそっと変える一歩になるかもしれません。
🌈✨高校生編も面白い名作があります。よければこちらの記事も参考にしてくださいね。
☛面白い文学作品おすすめ10選|高校生がハマる読みやすい名作まとめ