「純文学」と「大衆文学」は多種多様な文学のジャンルがある中で、対照的な存在として知られています。
違いと特徴があるのですが、よく聞く言葉なのでどうしてもこの二つのジャンルは混同しがちです。
そこで、今回は、純文学と大衆文学の違いと見分け方のポイントをご紹介します。
純文学と大衆文学の違い
そもそも違いってあるのか?と疑問からはいりますが、違いはあります。
この際、違いを覚えておくと読書の幅がグンと広がります。
純文学とはどんな作品?
純文学では、登場人物の内面的な葛藤や成長、複雑な心理描写が重視されます。
そのためキャラクターは様々な性格の人物で現実的な存在として描かれます。
その人物の行動や考え方には深い背景や動機が存在するため、私たちはキャラクターを通して人間性の深淵に触れることができます。
代表的な文学賞は芥川賞です。
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読後「そういうことだったのか」「なるほど」「うーん」「そうか……」など、すぐに言葉に表せないことが多いかな。
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僕は感想に困ることが多いよ
大衆文学とはどんな作品?
大衆文学の登場人物は、比較的わかりやすく、ステレオタイプ的な描写が多いです。
ヒーローやヒロイン、悪役など、役割が明確で、物語の進行をスムーズにするためのキャラクター設定がなされています。
私たちはキャラクターに共感しやすく、ストーリーの展開を純粋に楽しむことができます。
代表的な文学賞は直木賞です。
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読後「あ~面白かった」「ドキドキした」「怖かった」「犯人が捕まって良かった」など、素直な気持ちをすぐに言葉で表せる気がするよ。
![ヨメキチ](https://matsukazechiri.blog/wp-content/uploads/2024/03/17071765529172866186098900860524.jpg)
余韻に浸ってることがよくある!
純文学とは?代表的な作家や作品
純文学は、文学そのものの美しさや芸術性を大切にすることを目的とした作品です。
このような作品では、人間の心の中の深い部分や、社会の複雑な問題、哲学的な質問など、さまざまなテーマが取り上げられます。
純文学を読むと私たちは色々なことを考えさせられます。
純文学は必ずしも楽しむためだけに書かれているわけではないことが特徴です。
詩のように美しい表現が重視されます。
言葉の選び方や文章のリズム、比喩(たとえ)などが重要な要素となります。
文章そのものが作品の大切な部分であり、深い意味や象徴が込められることが多いです。
≪ 代表的な作家と作品 ≫
◆夏目漱石 「こころ」・「吾輩は猫である」
◆芥川龍之介「羅生門」・「地獄変」
◆谷崎潤一郎 「細雪」・「痴人の愛」
◆川端康成「雪国」・「千羽鶴」
◆三島由紀夫 「金閣寺」・「潮騒」
大衆文学とは?代表的な作家や作品
大衆文学は、主にエンターテインメントを目的としています。
私たちを楽しませることを第一とし、わかりやすいストーリー展開やキャッチーな設定が多いです。
テーマは恋愛、冒険、ミステリー、サスペンスなど、日常生活に親しみやすいものが多くあります。
わかりやすく、読みやすいスタイルが特徴です。
シンプルで明快な言葉が使われ、物語のテンポが早いことが多いです。
読者がスムーズに物語に入り込みやすく、娯楽としての機能を果たすことが重視されます。
≪ 代表的な作家と作品 ≫
◆松本清張 「点と線」・「砂の器」
◆横溝正史 「八つ墓村」・「犬神家の一族」
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◆宮部みゆき 「火車」・「模倣犯」
◆東野圭吾「容疑者Xの献身」・「白夜行」
◆恩田陸「夜のピクニック」・「蜜蜂と遠雷」
純文学の位置づけ
純文学は日本文学界においてとても重要な位置を占めています。
多くの文学賞が純文学を対象としており、芥川賞はその代表的な例です。
その高い文学的価値と深いテーマ性により、読者に対して知的で、感情的な刺激を与えることを目指しています。
新人の純文学作家にとっての登竜門とされています。
大衆文学の位置づけ
大衆文学は読者に娯楽と感動を提供しつつ、時には社会的な問題や人間の本質を考えさせる要素も含まれることがあります。
そのため、単なる娯楽にとどまらず、読者の心に深い印象を残すことができる、文学のひとつの形態として評価されています。
広い年齢層の読者に支持されることで、出版市場においては大きな影響力を持ちます。
直木賞はその代表的な賞であり、優れた大衆文学作品を表彰することで新しい作家の発掘や育成を目的としています。
まとめ
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純文学と大衆文学は、それぞれ異なる特徴と魅力を持っていることがわかります。
純文学は芸術性と深い考察を求める読者に向けて書かれており、大衆文学はエンターテインメントを求める幅広い読者層に向けて書かれています。
どちらも文学としての価値があります。
私たちのニーズや興味に応じて、純文学かエンタメかを選ぶことで、読書の楽しみがグンと広がりますよね。
みなさまがより豊かな読書を楽しめますように!