心がざわつく日や、考え事が頭から離れない日。
そんなとき、本を開くと、しばらく別の世界に意識が向くことがあります。
読書をすれば、ストレスが必ず消えるわけではありません。
それでも、好きな言葉を追ったり、物語の中へ入ったりする時間が、日常から少し距離を置くきっかけになることはあります。
大切なのは、
「心を元気にする本を読まなくちゃ」
と頑張ることではありません。
笑いたい。
ぼんやり読みたい。
現実とは違う世界へ行きたい。
今日は文字をたくさん読みたくない。
その日の自分に合う本を選ぶことです。
この記事では、読書で気分転換をしたいときに選びやすい5つのジャンルと、近年に刊行された本を中心に、今おすすめしたい一冊をご紹介します。
読書とストレスの関係をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶読書がストレス解消につながるのはなぜ?研究からわかる理由と読書習慣
読書でストレス解消したいときは、どんなジャンルを選べばいい?
「ストレス解消には、このジャンルが一番」
と決める必要はありません。
楽しみのための読書についてまとめた2025年のレビューでは、日常のストレス要因から距離を置くことや、物語を通して違う視点に触れることなどが、読書とウェルビーイングをつなぐ要素として挙げられています。
つまり、読みたい本はその日の状態によって変わっていいんですよね。
頭が疲れている日は、短い文章。
少し笑いたい日は、ユーモアのある本。
日常から離れたい日は、幻想的な小説。
文字を追うことさえしんどい日は、漫画や絵の多い本。
ここからは、そんな選び方で5つのジャンルをご紹介します。
読書でストレス解消したいときにおすすめのジャンル5選
その日の気分によって、読みたい本は変わるものです。
ここでは、心を少し休ませたいときに選びやすい5つのジャンルと、それぞれに合うおすすめ本をご紹介します。
1.静かなエッセイ|考えごとが多い日に
『ゆびさきがふれあった日』永瀬
何かを解決したいというより、
「今日は静かな文章を読みたい」
という日におすすめしたいのがエッセイです。
2026年9月刊行の『ゆびさきがふれあった日』は、「余白」をめぐる静かなエッセイ集。
言葉、部屋、散歩道、ライブハウス、眠れない夜など、日常にある小さな場面が短い文章で綴られています。全224ページで、一篇ずつ区切って読むこともできます。
疲れている日は、長いストーリーを追うこと自体が負担になることがあります。
そんなときは、どこからでも少しずつ読める本がちょうどいいんですよね。
「答えを探す」のではなく、誰かの言葉のそばに少しだけ座ってみる。
そんな読み方ができる一冊です。
こんな日に: 頭の中がいっぱい/静かな文章を読みたい/一篇ずつ読みたい
2.ユーモアのあるエッセイ|少し笑いたい日に
『もうしばらくは早歩き』くどうれいん
心が疲れているとき、感動する本さえ重く感じることがあります。
そんな日は、「ちょっとおかしい」くらいの本がいいこともあります。
『もうしばらくは早歩き』は2025年11月刊行。
新幹線、自転車、ローラースケート、台車、たらい船など、さまざまな「移動」をめぐる出来事を綴ったエッセイ集です。日常のちょっとした出来事に笑いがあり、ときどき切なさもあります。
元気を出そうとするのではなく、
「そんなことある?」
と少し笑う。
それだけで十分な日もありますよね。
気持ちを大きく動かす物語ではなく、日常の面白さを拾いたい日に。
こんな日に: 深刻な話は読みたくない/少し笑いたい/日常エッセイが好き
3.連作短編小説|別の人生を少しだけのぞきたい日に
『じゃないほうの歌いかた』佐々木愛
物語を読みたいけれど、長編を一冊追い続ける気力はない。
そんなときは、連作短編が読みやすいです。
『じゃないほうの歌いかた』は、独立系カラオケ店「BIG NECO」を舞台にした連作小説。
派手な成功者ではない、どこにでもいそうな人たちの人生が描かれます。
2025年8月刊、216ページ。2026年には第2回北上次郎「面白小説」大賞も受賞しています。
自分の生活に少し疲れたとき、誰か別の人の物語を読む。
すると、いつの間にか自分の悩みから少し離れていることがあります。
「頑張る人の成功物語」ではなく、うまくいかないことも抱えながら生きている人たちの話なのも、この本のいいところです。
こんな日に: 誰かの人生をのぞきたい/長編はしんどい/人間を描いた小説が読みたい
4.幻想小説|現実から少し離れたい日に
『ヨシモトオノ』吉本ばなな
仕事や家事、人間関係など、現実のことばかり考えて疲れてしまった。
そんな日は、少し不思議な世界へ入ってみるのも一つです。
2025年5月刊の『ヨシモトオノ』は、吉本ばななさんが『遠野物語』の世界と響き合う形で描いた小説。
日常のすぐ隣に、少し違う世界が口を開いているような物語です。生と死の境界や、不思議な出来事が描かれています。
現実の問題から完全に逃げるということではありません。
ただ、今いる場所とは違う景色を見る。
本には、そういう使い方もあると思います。
読み終わって現実へ戻ったとき、ほんの少し距離ができていることもあります。
こんな日に: 現実から離れたい/不思議な話が好き/静かな幻想小説を読みたい
5.コミックエッセイ|文字を追うのも疲れる日に
『ねことしもべ』しもべ
「今日は小説どころか、文章を読む気力もない」
そんな日もあります。
だったら、無理に文字ばかりの本を選ばなくていいんですよね。
2026年9月28日発売の『ねことしもべ』は、2匹の猫「とのまる」「かげまる」と暮らす日常を描いたフルカラーのコミックエッセイ。
128ページで、猫たちのいたずらや飼い主とのやりとりが短いエピソードで描かれています。
Search Consoleにも「読書 ストレス解消 漫画」という検索があります。
漫画だって読書です。
今日は絵を眺める。
数ページだけ読む。
それでも十分だと思います。
特に動物が好きな人なら、こういう一冊を枕元に置いておくのもいいですね。
こんな日に: 文字をたくさん読みたくない/猫が好き/軽く笑いたい
心が疲れた日は「元気が出る本」を選ばなくてもいい

しんどいとき、
「前向きになれる本を読もう」
「自分を変えられる本を読まなくちゃ」
と思うことがあります。
でも、読むことまで宿題にしなくていいと思います。
静かな本でもいい。
笑える本でもいい。
猫の漫画でもいい。
昔読んだ本でもいい。
読書をウェルビーイングにつなげる研究でも、もともと読書を肯定的に捉えている人ほど、その時間を楽しみやすいことが示唆されています。
だからこそ、
「今、自分が読みたいか」
を一番大事にしてみてください。
そもそも本を読むこと自体がしんどいなら
本を読もうとしても、
文字が頭に入らない。
数ページで疲れる。
今日は何も読みたくない。
そんな日は、本を閉じても大丈夫です。
読書は休息の選択肢の一つであって、必ずしなければならないものではありません。
「読みたい気持ちはあるけれど、読みやすい本を探したい」という場合はこちらも参考にしてみてください。
▶読書が苦手な大人でも読める本7選|本嫌い・普段読まない人にもおすすめ
読書だけで何とかしなくてもいい

読書は、日常から少し離れたり、気分転換をしたりする時間にはなります。
ただし、つらさが長く続いているときや、眠れない、食べられない、仕事や家事ができないなど生活への影響が大きいときは、読書だけで抱え込む必要はありません。
厚生労働省の「こころの耳」では、電話・SNS・メール相談や医療機関検索などの相談先が案内されています。
本は医療や専門的な支援の代わりではありません。
「本を読めば治る」ではなく、自分を少し休ませる方法の一つくらいに考えておくのがよいと思います。
まとめ|ストレス解消のための読書は、その日の気分で選んでいい
今回ご紹介したのは、
- 静かなエッセイ
- ユーモアのあるエッセイ
- 連作短編小説
- 幻想小説
- コミックエッセイ
の5つです。
どのジャンルが一番よい、ということではありません。
静かな文章に落ち着く日もあれば、笑える本しか読みたくない日もあります。
物語の世界へ遠く行きたいこともあれば、猫の漫画を数ページ眺めるだけで十分なこともあります。
本を読む時間まで、頑張らなくていいんですよね。
「今日はこれなら読めそう」
そう思える一冊を、そっと開いてみてください。

