こんにちは、松風知里です。
2025年4月13日に開幕した大阪万博、世界各地のパビリオンが私たちを魅了してくれていますね。
特に、ヨーロッパ中部から北欧へと続くエリアは、息をのむような美しい風景や深い歴史、そして未来に対するわくわくが詰まった特別な場所です。
「この国の展示、もっと心に刻んでおきたいな…」そんなふうに感じているあなたにぴったりなのが、万博で感じた感動を本の世界でじっくり味わうことです。
この記事では、海外文学の視点から、ヨーロッパ中部・北欧編で巡るおすすめの本10選をご紹介します。
今回ご紹介する書籍は、海外文学作品の中でも日本語に翻訳され、私たち日本人が読みやすいものを厳選しました。
どれも万博の国々に関連する文化や歴史を深く知る手助けとなる素敵な一冊です。
大阪万博パビリオン×海外文学で本を楽しむおすすめポイント

なぜヨーロッパ中部・北欧編の海外文学本がおすすめなの?
- 重厚な歴史や壮大な自然を、やわらかな文章で味わえる
- 大阪万博でのパビリオン体験が、次のページをめくる楽しみに変わる
- 海外文学初心者にも読みやすい作品がそろっている
展示の余韻を本で深めることで、あなたの万博体験がもっと広がり、忘れられない思い出になりますよ。
大阪万博パビリオンで読むおすすめの本10選|海外文学セレクション
さっそく、パビリオンで感じたあの国の魅力を読書で追体験する10冊をご覧ください。
オーストリア連邦|『インディゴ』/クレメンス・J・ゼッツ
「大阪万博で出会いたい、“ちがう”ことを肯定してくれる一冊」
自分だけがどこか違う…そんなふうに感じることはありませんか?
オーストリア発の海外文学『インディゴ』は、“普通”になじめない子どもたちと、若い教師ゼッツの15年間を描いた、やさしくて少し不思議な物語です。
舞台は全寮制の学園「ヘリアナウ」。
幻想と現実がまじりあうような文体が、どこか夢の中にいるようで──その世界観は、大阪万博のパビリオンで伝えられる「多様性」や「未来への共生」のテーマと、どこか呼応しているようにも感じます。
「ちがう」ということを、排除ではなく“可能性”として描く本書は、自分の存在に迷ったときにそっと力をくれる一冊。
心が少し疲れてしまったとき、自分らしさを肯定してくれる本に出会いたいなら、『インディゴ』はきっと、おすすめの一冊です。
大阪万博の感性をそのままに、あなた自身の心にも小さな灯りをともしてみませんか?
クレメンス・J・ゼッツ(1982年生)はオーストリア・グラーツ出身の作家・翻訳家。2007年に長編小説でデビュー後、ライプツィヒ賞などを受賞。デジタル社会やポストヒューマニズムを扱う実験的作品で知られる。
ベルギー王国|『マルペルチュイ』/ジャン・レー
静かな時間に、ページをめくると──
そこには古びた館“マルペルチュイ”が、ひっそりと息づいています。
若きジャン=ジャックの視点で描かれるこの海外文学の傑作は、幻想と現実のあいだをゆらめくような物語。
かつて栄えた一族が、恋や欲望のなかで運命に呑み込まれていく様子が、重くも美しい余韻を残してくれます。
読んでいると、まるで夢の中にいるような感覚に包まれて、不思議と心が静かになっていくんです。
そんな“マルペルチュイ”の世界観は、大阪万博のベルギーパビリオン──「水の三態」を表現した幻想的な空間にもどこか似ていて。異なるものが出会い、新たな創造が生まれる。そんな場を訪れたあとに読む本としても、とてもおすすめなんです。
ぜひ一度、この海外文学の扉をそっと開いてみませんか?
あなたの中に、まだ知らなかった感性がふわりと目を覚ますかもしれません。
ベルギー・ヘント生まれのジャン・レー(本名レーモン・ド・クレメール、1887–1964)は、船員やジャーナリストの経験を活かし、『マルペルチュイ』をはじめ幻想・怪奇文学で高く評価された作家です。
チェコ共和国|『R.U.R』/カレル・チャペック
未来を見つめながら歩いていると、ふとこんなことを考える瞬間があります。「これからの社会で、“人間らしさ”って何だろう?」──そんな想いに寄り添ってくれる一冊が、100年以上前に書かれた海外文学『R.U.R.(ロッサム万能ロボット会社)』です。
舞台は孤島のロボット工場。大量生産された人造人間たちが、やがて心を持ち、人間に反旗を翻すというお話です。古典SFでありながら、いまを生きる私たちにも深く問いかけてくるこの作品。
まるで大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を、時代を超えて先取りしていたかのようです。
チェコパビリオンで未来技術に触れたあと、この本を手にすれば、AIやロボットと共に生きる社会で「人間らしさとは何か」を、静かに見つめ直せるかもしれません。
“これから”を考えるあなたにこそ、おすすめしたい一冊です。
未来を想像しながら読むこの本は、大阪万博で感じたワクワクと一緒に、心のどこかにやさしく灯ってくれるはずです。
1890年にボヘミアで医師の家庭に生まれたチャペックは、哲学を学び、1920年発表の戯曲『R.U.R.』で「ロボット」を広めたチェコの作家。民主主義や人権擁護に尽力し、1938年逝去後も自由の象徴とされる。
デンマーク王国|『アンデルセン童話集』/ハンス・クリスチャン・アンデルセン
「100年先も語り継ぎたい“やさしさ”の物語」
大阪万博のパビリオンを巡るなかで、“いのち”や“多様性”にふれる時間があったなら──そっと手に取りたくなる一冊が『アンデルセン童話集 おやゆび姫・人魚姫など』です。
この海外文学のおすすめは、小学生から大人まで楽しめるふりがな付きの優しいつくり。誰もがどこかで耳にしたことのある名作たちが、やわらかな言葉で丁寧に紡がれています。
「夢」や「共感」といった大阪・関西万博のテーマとも重なるメッセージが、時代や国をこえて、心にじんわり届くような本。パビリオンで感じた未来への思いを、今度は童話を通して味わってみませんか?
お気に入りの一話からゆっくり。ひとりで読むのも、誰かと分かち合うのも素敵ですね。未来へつながる小さな灯りを、この一冊から見つけてみましょう。
ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805–1875)は、貧しい家庭に育ち14歳でコペンハーゲンへ渡り、俳優志望から童話作家へ転身。『即興詩人』や『人魚姫』『雪の女王』など約160編を発表し、世界中で愛されるデンマークの国民作家となりました。
フィンランド共和国|『若く逝きしもの』 /フランス・エーミル・シッランパー
北欧の大地に、いのちの強さを見つけにいきませんか?──大阪万博×おすすめ海外文学
フィンランドの豊かな自然に見守られながら、ひとりの少女が静かに、でも力強く生きていく──。
『若く逝きしもの』は、ノーベル文学賞作家フランス・エーミル・シッランパーが描いた、少女シリヤの短くも美しい人生の物語です。
家族を想い、孤独や貧しさのなかでも自然の恵みに心を寄せながら、少女は懸命に生きていきます。
その姿には、大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にも通じる、大切なメッセージが込められています。
読み終えたとき、胸にぽっと灯るのは、命の儚さと、前を向いて生きる強さ。
そんな北欧文学の名作を、あなたもこの機会に手にとってみませんか?
パビリオンで感じた“いのち”の余韻を、フィンランドの海外文学で深めてみてくださいね。
フランス・エーミル・シッランパー(1888–1964)は、1913年に創作を始め、『聖貧』で頭角を現した後、1939年に『若く逝きしもの』でノーベル文学賞を受賞したフィンランドの小説家です。
ノルウェー王国|『 ソフィーの世界 』/ヨースタイン・ゴルデル
「ねえ、“あなたは誰?”って、考えたことありますか?」
そんなふとした問いから始まる『ソフィーの世界』は、ノルウェー発の海外文学で、哲学をやさしく紡いだ一冊です。
14歳の少女ソフィーが、ある日届いた不思議な手紙をきっかけに、古代から現代へとつながる“考える旅”に出かけます。
本を開けば、私たち自身の存在や、世界の成り立ちにやさしく向き合う時間が待っています。
大阪万博のパビリオンで感じた「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマは、まさにこの本が問いかける“人間とは何か”“未来をどう生きるか”という本質と響き合います。
未来の扉を開きたいあなたへ──
哲学の入り口としてもぴったりなこのおすすめの本で、ソフィーと一緒に思索の旅を始めてみませんか?

ヨースタイン・ゴルデルは1952年オスロ生まれ。哲学や思想史を学び教師を経て作家に転身、1991年の『ソフィーの世界』で世界的ベストセラーを達成。ソフィー賞で環境保全や国際貢献を支援している。
スウェーデン王国|『長くつ下のピッピ』 /アストリッド・リンドグレーン
自分らしく生きるって、どんなことだろう──。
そんなふうに思うとき、そっと手に取りたくなる一冊が『長くつ下のピッピ』です。
スウェーデン生まれのピッピは、赤毛にそばかすの9歳の女の子。大人のルールに縛られず、サルのニルソンさんやお馬さんと一緒に「ごたごた荘」で、自由きままに暮らしています。
その姿は、まるで大阪万博の北欧パビリオンに込められた“自然との共生”や“多様性を受け入れる力”を体現しているよう。
北欧の美しい木造建築ややさしいデザインに触れたあとに読むと、ピッピの冒険がさらに心に響いてきます。
ページをめくるたびに、「自分らしさって、素敵だな」って思わせてくれるピッピの言葉や行動──。海外文学の中でも、年齢や時代を超えて愛される理由がきっと感じられるはずです。
お子さまと一緒に読むのも、大人が“童心”を思い出したいときにもぴったり。大阪万博で感じた“いのち輝く”感動を、本の中でもう一度味わいたい方におすすめの一冊です。
「ピッピと一緒に、“わたしらしく”を見つけてみませんか?」
スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(1907–2002)は、『長くつ下のピッピ』など130作を発表。国際アンデルセン賞を受賞し、その功績を称えて2002年に同国政府がアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を創設しました。
ポーランド共和国|『逃亡派』/オルガ トカルチュク
ふと「どこかへ行きたい」と感じたことはありませんか?
そんな気持ちにそっと寄り添ってくれるのが、ポーランドの海外文学『逃亡派』です。
この本は、ノーベル文学賞を受賞したオルガ・トカルチュクが、116の短い章で紡いだ“旅”の物語。
現実と幻想がゆるやかに混ざり合う世界で、名もなき語り手とともにページをめくるたび、まるで巡礼の旅をしているような感覚に包まれます。
「大阪万博」のポーランドパビリオンでは、“創造性を受け継ぐ遺伝子”をテーマに、人と人、文化と文化のつながりが描かれています。
そんな万博のテーマと、『逃亡派』が語る「変化」や「越境」へのまなざしは、どこかでぴたりと重なっているように思うのです。
旅すること。変わっていくこと。そして、まだ知らない自分に出会うこと──。
「いのち輝く未来社会」を描く大阪万博とともに、そんな自由な読書の旅を始めてみませんか?
海外文学が好きな方にも、ちょっと変わったおすすめ本を探している方にも、そっと寄り添う一冊です。
オルガ・トカルチュク(1962年生まれ)はポーランドの小説家。1993年にデビュー後、『逃亡派』でブッカー国際賞を獲得し、2018年にノーベル文学賞を受賞。多文化と自由を描く作品で知られます。
スイス連邦|『至福の烙印』/クラウス・メルツ
「大阪万博で心に残る本を探すあなたへ──海外文学のおすすめ一冊」
傷ついた心に、ふと光が差し込むような瞬間って、ありますよね。
そんな“ささやかな幸福”を静かに描き出してくれるのが、スイスの作家クラウス・メルツによる短編集『至福の烙印』(松下たえ子訳)です。
この本は、人生の痛みや喪失、孤独といったテーマを、詩のように美しい言葉でつづっています。
登場人物たちは、深い傷を抱えながらも、ほんの一瞬の「至福」に出会うことで、また前を向いて歩き出していくのです。
派手な展開はありません。でも、ページをめくるたびに、心の奥がそっとあたたまっていく──そんな海外文学の魅力が、ぎゅっと詰まっています。
そして、この『至福の烙印』が伝えてくれるメッセージは、2025年の大阪万博が掲げるテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とも、どこか重なります。
さまざまな価値観が共存するパビリオンのように、人それぞれの“痛み”や“希望”が交差しながらも、前へ進もうとする姿が描かれているのです。
もし、「大阪万博に向けて、世界のことをもっと感じたい」「心に残るおすすめの本を読みたい」と思っているなら、この一冊はぴったり。
華やかな未来だけではなく、ひとりひとりの人生の陰影に目を向けることで、きっと見えてくるものがあるはずです。
本を読むことで、あなた自身の“未来”や“希望”が、そっと形を見せてくれるかもしれません。
よかったら、この静かでやさしい海外文学を、あなたの本棚にも迎えてみてくださいね。
クラウス・メルツは現代スイスを代表する作家で、詩的かつ簡潔な文体で人々の繊細な日常を描く作品が特徴です。代表作『至福の烙印』は日本語にも翻訳され、国内外で高い評価を受けています。
ハンガリー|『運命ではなく』/ケルテース・イムレ
「どんな闇にも、小さな光はきっとあるんです」
そんな風に、そっと語りかけてくれる海外文学の一冊が、ケルテース・イムレの『運命ではなく』です。
この本は、大戦中のブダペシュトで暮らす14歳の少年が、アウシュヴィッツやブーヘンヴァルトといった強制収容所を生き抜くなかで、自らの「いのち」や「自由」について考え続ける、自伝的な物語。
過酷な状況の中でも、尊厳を失わず、自分の運命と静かに向き合う姿に、心が大きく揺さぶられます。
大阪万博のパビリオンが描く「未来社会のデザイン」にも通じるこのテーマ──生きる意味、多様性、そして希望。『運命ではなく』は、まさにそんな価値観と響き合うおすすめの海外文学です。
「大阪万博で感じた“未来”を、文学を通してもっと深めたい」
そんなあなたに、この本はそっと寄り添ってくれることでしょう。
学生の方、教育に関わる方、そして今、自分自身の道を考えているすべての方へ。
どうか、この一冊との出会いが、新しい光となりますように。
ケルテース・イムレ(1929〜2016)はハンガリー生まれの作家。14歳で強制収容所を生き延び、1953年から作家・翻訳家として活動。自伝的小説『運命ではなく』で国際的評価を獲得し、2002年にノーベル文学賞を受賞した。
大阪万博パビリオン×海外文学でおすすめの本を楽しむ

万博で心躍った物語を、すぐに手軽に楽しみたい方へ︕Kindle UnlimitedやAudibleの活用法をわかりやすくご案内します。
Kindle Unlimitedの使い方・料金・解約方法など、初めての方も安心して始められるよう、登録から解約までをわかりやすく解説しています。
Audible完全マニュアル【2025年版】 耳で読む新しい読書体験を、無料体験期間やメリット、解約手順まで網羅しています。
まとめ
この記事でご紹介したヨーロッパ中部・北欧の海外文学10選は、すべて大阪万博のパビリオン体験を本の世界でさらに深めるおすすめの作品ばかり。
読書を通じて、万博の余韻をどうぞ大切に抱きしめてくださいね!
▶大阪万博2025のテーマ「いのち輝く未来社会」の魅力をさらに感じるために、近未来SF小説を読んでみませんか?詳しくは、こちらの「大阪万博2025のテーマと場所から考える|近未来SF小説おすすめ8選【いのち輝く未来社会とは】」をご覧ください。
▶また、万博で触れた多様な文化を、ヨーロッパ各地の文学を通じて深めてみましょう。以下のリンクから、それぞれの地域の名作をご紹介しています:
* 「大阪万博で読みたい本おすすめ10選【ヨーロッパ西部・南部編:パビリオン×海外文学】|Vol.2」