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谷崎潤一郎賞とは?2026年第62回受賞作『チェロ湖』・歴代受賞作とおすすめ5選

谷崎潤一郎賞とは?2026年第62回受賞作『チェロ湖』・歴代受賞作とおすすめ5選 文学賞・文学情報
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「谷崎潤一郎賞って、どんな文学賞なんだろう?」

名前は聞いたことがあっても、芥川賞との違いや、どんな作品が選ばれてきたのかまでは、意外と知らないこともありますよね。

谷崎潤一郎賞は、1965年に創設された文学賞です。

『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』などで知られる谷崎潤一郎の幅広い文学活動にちなみ、「時代を代表する優れた小説・戯曲」を顕彰してきました。

2026年第62回谷崎潤一郎賞は、いしいしんじさんの『チェロ湖』(新潮社)に決定しました。

8月24日に選考会が行われ、5名の選考委員による審査を経て受賞作が選ばれています。

この記事では、

  • 2026年第62回の受賞作『チェロ湖』
  • 谷崎潤一郎賞とはどんな賞なのか
  • 谷崎潤一郎賞の特徴
  • 芥川賞との違い
  • 歴代受賞作品
  • 初めて読む方にもおすすめしたい受賞作5選

をまとめていきます。

文学賞というと、少し遠い世界のように感じるかもしれません。

でも歴代作品を眺めてみると、「この作家も受賞していたんだ」「これは読んでみたいな」と、本との新しい入口が見つかるんですよね。

2026年の受賞作からでも、過去の名作からでも大丈夫です。気になるところから、ゆっくり見てみてくださいね。

谷崎潤一郎賞2026・第62回の受賞作は『チェロ湖』

2026年第62回谷崎潤一郎賞は、いしいしんじさんの『チェロ湖』(新潮社)に決定しました。

2026年8月24日に選考会が行われ、5名の選考委員による審査を経て受賞作が選ばれました。

回年受賞作著者出版社
第62回2026年チェロ湖いしいしんじ新潮社

新しい一冊が、谷崎潤一郎賞の長い歴史に加わりました。

第62回谷崎潤一郎賞『チェロ湖』とは?

『チェロ湖』は、いしいしんじさんによる長編小説です。

弦楽器のような形をした湖へボートで漕ぎ出す若い男が、竿の先につけられた蓄音器の針を通して、一族四代・約100年にわたる物語をたどっていきます。

祖父母や両親の記憶、チェロ、蓄音器、鳥の声、レコードやオーケストラなど、「音」と「物語」が幾重にも重なっていく作品です。

新潮社刊の単行本は912ページ。かなり厚みのある長編ですが、ひとつの家族の時間だけではなく、音や記憶までたどっていく大きな物語になっています。

谷崎潤一郎賞が「時代を代表する優れた小説・戯曲」を選んできた賞だと考えると、2026年にどんな作品が選ばれたのか、じっくり読んで確かめてみたくなる一冊ですね。

『チェロ湖』からいしいしんじさんを知った方は、「どんな作家がこの物語を書いたんだろう」と気になるかもしれません。
専業作家になったきっかけや経歴、家族については、こちらの記事でまとめています。
▶ いしいしんじはどんな作家?専業作家になったきっかけや妻・家族、経歴を紹介

「最新の谷崎潤一郎賞から読んでみたい」という方は、『チェロ湖』から入ってみるのもいいと思います。

『チェロ湖』をきっかけに、いしいしんじさんのほかの作品も読んでみたくなった方へ。代表作や文学賞受賞作、初めて読むときの順番を7冊に絞って紹介しています。
▶ いしいしんじのおすすめ作品7選|代表作・文学賞受賞作と初心者向けの読む順番

第62回谷崎潤一郎賞の選考会は2026年8月24日

第62回谷崎潤一郎賞の選考会は、2026年8月24日に行われました。

近年の選考日を並べると、次のようになります。

回年選考会
第60回2024年8月26日
第61回2025年8月29日
第62回2026年8月24日

2026年も、例年と同じく8月下旬の選考となりました。

第62回の選考委員は5名

2026年第62回の選考委員は、次の5名です。

  • 池澤夏樹さん
  • 川上弘美さん
  • 桐野夏生さん
  • 筒井康隆さん
  • 堀江敏幸さん

前年の第61回では筒井康隆さんが欠席し、4名で審査が行われましたが、第62回は5名による審査となりました。

選評は2026年10月10日発売の『中央公論』11月号に掲載される予定です。また、贈賞式は10月20日に東京都内で開催されます。

受賞作を読んだあとに選評を読むと、「なぜこの一冊が選ばれたのか」という別の角度から作品を味わえるかもしれません。

前回・2025年第61回は木村紅美『熊はどこにいるの』

2025年第61回谷崎潤一郎賞は、木村紅美さんの『熊はどこにいるの』(河出書房新社)が受賞しました。

2025年8月29日に選考会が行われ、池澤夏樹さん、川上弘美さん、桐野夏生さん、堀江敏幸さんの4名が審査にあたり、筒井康隆さんは欠席しました。

震災後の土地や、そこで生きる人々の時間に触れる作品です。

2026年の『チェロ湖』とはまた違うかたちで、人と土地、そこに積み重なる時間を描いています。

最新作と前回の受賞作を続けて読むと、谷崎潤一郎賞が一つの作風だけに限定されない文学賞だということも感じられるかもしれません。

「最新の谷崎賞から読んでみたい」という方は、ここから入ってみるのもいいと思います。

谷崎潤一郎賞とは?特徴をわかりやすく解説

谷崎潤一郎賞は、中央公論社の創業80周年を記念し、1965年に創設されました。

明治・大正・昭和を通して幅広いジャンルで活躍した谷崎潤一郎の業績にちなみ、「時代を代表する優れた小説・戯曲」を顕彰する文学賞です。

ここが、谷崎潤一郎賞を理解するうえで大切なところなんです。

「美しい文章だけ」「純文学だけ」と単純に決められた賞ではありません。

歴代を見ると、小島信夫、遠藤周作、大江健三郎、村上春樹、川上弘美、町田康、小川洋子、津村記久子、吉本ばなななど、本当に幅広い作家が並んでいます。

その時代の文学を映す作品をたどれること。

そこが谷崎潤一郎賞の面白さなのかもしれません。

谷崎潤一郎賞と芥川賞の違いは?

「谷崎潤一郎賞と芥川賞は、何が違うの?」

という疑問もありますよね。

大きな違いを整理すると、次のようになります。

谷崎潤一郎賞芥川賞
創設1965年1935年
主な対象時代を代表する優れた小説・戯曲新進作家による純文学の中・短編
授賞原則年1回年2回
主催中央公論新社日本文学振興会

芥川賞は、新進作家による純文学の中・短編から選ばれ、年2回選考されます。

一方の谷崎潤一郎賞は、すでに長いキャリアを持つ作家が受賞することも珍しくありません。

「新人の登竜門」というより、その時代を代表する一作に出会う賞と考えると、違いがわかりやすいと思います。

谷崎潤一郎賞の歴代受賞作品一覧

ここからは、第1回から2026年第62回までの歴代受賞作を見ていきましょう。

1965年第1回の小島信夫『抱擁家族』から、2026年第62回のいしいしんじ『チェロ湖』まで、受賞作を年代別に整理しています。

作品を並べてみると、その時代ごとにどんな小説が読まれ、評価されてきたのかも少し見えてきます。

2020年代

回年受賞作著者
622026チェロ湖いしいしんじ
612025熊はどこにいるの木村紅美
602024続きと始まり柴崎友香
592023水車小屋のネネ津村記久子
582022ミトンとふびん吉本ばなな
572021アンソーシャル ディスタンス金原ひとみ
562020日本蒙昧前史磯﨑憲一郎

2010年代

回年受賞作著者
552019飛族村田喜代子
542018焰星野智幸
532017名誉と恍惚松浦寿輝
522016薄情絲山秋子
522016三の隣は五号室長嶋有
512015ヤモリ、カエル、シジミチョウ江國香織
502014東京自叙伝奥泉光
492013愛の夢とか川上未映子
482012さよならクリストファー・ロビン高橋源一郎
472011半島へ稲葉真弓
462010ピストルズ阿部和重

2000年代

回年受賞作著者
452009受賞作なし―
442008東京島桐野夏生
432007爆心青来有一
422006ミーナの行進小川洋子
412005告白町田康
412005風味絶佳山田詠美
402004雪沼とその周辺堀江敏幸
392003容疑者の夜行列車多和田葉子
382002受賞作なし―
372001センセイの鞄川上弘美
362000遊動亭円木辻原登
362000共生虫村上龍

1990年代

回年受賞作著者
351999透光の樹髙樹のぶ子
341998火の山―山猿記津島佑子
331997季節の記憶保坂和志
331997路地三木卓
321996受賞作なし―
311995西行花伝辻邦生
301994虹の岬辻井喬
291993マシアス・ギリの失脚池澤夏樹
281992花に問え瀬戸内寂聴
271991シャンハイムーン井上ひさし
261990やすらかに今はねむり給え林京子

1980年代

回年受賞作著者
251989受賞作なし―
241988受賞作なし―
231987夢の木坂分岐点筒井康隆
221986砂丘が動くように日野啓三
211985世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド村上春樹
201984群棲黒井千次
201984この国の空高井有一
191983槿(あさがお)古井由吉
181982寂兮寥兮(かたちもなく)大庭みな子
171981みちのくの人形たち深沢七郎
171981吉野大夫後藤明生
161980一年の牧歌河野多惠子

1970年代

回年受賞作著者
151979ポロポロ田中小実昌
141978夏中村真一郎
131977日の移ろい島尾敏雄
121976田紳有楽藤枝静男
111975一休水上勉
101974安曇野臼井吉見
91973帰らざる夏加賀乙彦
81972たった一人の反乱丸谷才一
71971青年の環野間宏
61970闇のなかの黒い馬埴谷雄高
61970暗室吉行淳之介

1960年代

回年受賞作著者
51969「朱を奪うもの」「傷ある翼」「虹と修羅」三部作円地文子
41968受賞作なし―
31967友達安部公房
31967万延元年のフットボール大江健三郎
21966沈黙遠藤周作
11965抱擁家族小島信夫

こうして並べると、「歴代」という言葉だけでは収まらないくらい、日本文学の大きな流れが見えてきますね。

谷崎潤一郎賞の歴代受賞作品おすすめ5選

2026年には、いしいしんじさんの『チェロ湖』が新たに歴代受賞作へ加わりました。

こちらもこれから読みたい一冊ですが、ここでは過去の受賞作から、初めて谷崎潤一郎賞に触れる方にも手に取りやすい5作品を選んでご紹介します。

『水車小屋のネネ』津村記久子

第59回受賞作です。

姉妹の暮らしと、人との小さなつながりを長い時間の中で描いていく物語。

劇的に誰かを救うのではなく、日々の中にある小さな支えが少しずつ人を生かしていく。その感覚が、とても静かに残ります。

向いている人: 家族や人間関係に少し疲れている方
読後に残るもの: 誰かと生きることへの、穏やかな信頼

『水車小屋のネネ』の空気が好きだった方は、津村記久子さんのほかの作品にも、暮らしの中でふっと心を支えてくれるような一冊があります。
次に読む本を探したい方はこちらへ。
▶ 津村記久子の最高傑作はどれ?おすすめ本7選と新刊『うそコンシェルジュ』も


『ミトンとふびん』吉本ばなな

第58回受賞作。

旅先や日常の中で、人と人が偶然触れ合う瞬間を描いた短編集です。

喪失の悲しみは簡単には消えないけれど、別の誰かとの出会いによって、呼吸が少し楽になることもある。

そんなことを思わせてくれる一冊なんですよね。

向いている人: 大切なものを失ったあと、静かな本を読みたい方
読後に残るもの: 人とのささやかなつながりの温度


『告白』町田康

第41回受賞作。

河内音頭でも知られる河内十人斬り事件を題材に、人間の愚かさや孤独を、独特の言葉のリズムで描いた長編です。

重い題材なのに、どこか滑稽でもある。

その笑いと痛みが同時にあるところに、町田康さんの文章の強さがあります。

向いている人: 強烈な文章のリズムを味わいたい方
読後に残るもの: 人はなぜ、自分でも止められない方向へ進んでしまうのかという問い

『センセイの鞄』川上弘美

第37回受賞作。

ツキコさんと、かつての高校教師だったセンセイ。

二人が酒を飲み、歩き、季節を重ねながら、少しずつ近づいていく物語です。

大きな言葉ではなく、一緒に過ごした時間の重なりが恋になっていく。

静かな小説を読みたい夜に合う一冊だと思います。

向いている人: 大人の恋や静かな日常小説が好きな方
読後に残るもの: 誰かと時間を重ねることの愛おしさ

『万延元年のフットボール』大江健三郎

第3回受賞作です。

四国の谷間の村を舞台に、過去の一揆と現代の出来事、家族の記憶が重なっていきます。

決して軽い作品ではありません。

でも、歴史と自分の生がどこかでつながっていることを感じたいときには、強く残る一冊です。

向いている人: 骨太な文学をじっくり読みたい方
読後に残るもの: 歴史の中で人が生きることへの問い

KindleやAudibleで読める作品も確認してみよう

「気になるけれど、いきなり一冊買うのは少し迷う」ということもありますよね。

電子書籍やオーディオブックの対象作品は時期によって変わりますが、Kindle UnlimitedやAudibleに対象作品があれば、読書の入口として使いやすいこともあります。

紙の本でじっくり読むのもいいですし、Kindleで少し試し読みしてから決めるのもいいんです。▶Amazon Kindle Unlimitedとは?料金・解約・使い方を初心者向けに解説

家事や移動の時間に本へ触れたい方は、Audibleの対象作品も確認してみてくださいね。
▶Amazonオーディブルとは?料金・無料体験・使い方・解約まで総まとめ


まとめ|2026年第62回は、いしいしんじ『チェロ湖』

谷崎潤一郎賞は、1965年に始まり、時代を代表する小説や戯曲を選んできた文学賞です。

2026年第62回は、いしいしんじさんの『チェロ湖』(新潮社)が受賞しました。

8月24日に選考会が行われ、池澤夏樹さん、川上弘美さん、桐野夏生さん、筒井康隆さん、堀江敏幸さんの5名による審査を経て、新しい受賞作が決まりました。

1965年の『抱擁家族』から『チェロ湖』まで。

歴代作品を並べてみると、60年以上にわたる日本文学の流れが、ひとつの長い本棚のようにも見えてきます。

文学賞を「受賞した本だから読まなくては」と考えなくても大丈夫なんですよね。

2026年の『チェロ湖』が気になれば、そこから。

過去の作品の中に惹かれる題名があれば、そこから。

自分の気持ちが少し動いた一冊を手に取ることが、文学賞を楽しむいちばん自然な入口なのかもしれません。

谷崎潤一郎賞そのものの名前の由来になった谷崎潤一郎について知りたくなった方は、作品と人生を年表でたどってみてください。
▶谷崎潤一郎の作品・年表一覧|代表作と作風の変遷を時代順に解説

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