図書館で一度に80冊もの本を借りていたという、小さな頃から本に親しんできた少女が、いま芥川賞候補として注目されています──。
2025年上半期・第173回芥川賞の候補作に選ばれた『たえまない光の足し算』(『文學界』2024年6月号掲載)は、日比野コレコさんが現役大学生として世に送り出した新作です。
デビュー作『ビューティフルからビューティフルへ』で鮮やかな登場を果たした日比野コレコさんが描く、いまを生きるわたしたちにそっと寄り添う物語。
その魅力を、作品のあらすじやこれまでの歩みとともに、やさしくご紹介していきますね。
日比野コレコ『たえまない光の足し算』とは?
『たえまない光の足し算』は、2024年6月号の文藝誌『文學界』に掲載された中編小説。
「“普通”におさまりきれない自分が、ずっと苦しかった──」
そんな想いに、どこか心が重なる方へ。
日比野コレコさんの『たえまない光の足し算』は、「異食の道化師」として生きる主人公・菌(きん)の姿を通して、自分の“美学”を貫く痛みと、それでも前を向く力を静かに描いています。
誰かと分かり合えなくても、誰かの期待に添えなくても、それでも「自分でありたい」と願う心に、そっと光を灯してくれる物語なんです。
──よかったら、あなたもこの一冊の中で、自分だけの“光”を足し算してみませんか?
日比野コレコのプロフィールと経歴
日比野コレコさんは、2003年生まれ。
奈良県で育ち、現在は大阪府在住の現役大学生です。通っている大学名などは公表されていませんが、大阪府内の大学で学ばれているそうです。
小学生のころから本が大好きで、家族全員分のカードを使って図書館で最大最大80冊近くを借りていたというエピソードも。
本の虫、という言葉がぴったりですよね。
高校生のとき、教室という場所に息苦しさを感じ始めた日比野さん。
最初はファンタジーを書いていたそうですが、やがて自分と同じ年ごろの高校生を主人公にした現実的な物語を書くようになります。
「感情を言葉にできるのは、小説のなかだけだった」と語る日比野コレコさんにとって、物語を書くことは、自分を大切に見つめるための手段だったのかもしれません。
日比野コレコのデビュー作と代表作まとめ
これまでに発表された日比野コレコさんの作品や受賞歴をふり返りながら、その世界観と一貫したテーマを見ていきましょう。どんなふうに読者の心をとらえてきたのか──その歩みをご紹介しますね。
日比野コレコ『ビューティフルからビューティフルへ』
「絶望をドレスコードに、私たちは今日も生き延びる。」
そんな一文に心がとまった方へ──。
日比野コレコさんの『ビューティフルからビューティフルへ』は、“生きづらさ”を抱えた高校生たちが、「ことば」を手がかりに、自分自身と向き合っていく物語です。
第59回文藝賞を受賞したこの作品は、18歳とは思えぬ鋭い言語感覚と、魂の深くまで届く筆致が高く評価されました。
読みながらきっと、あなたの中にもある「ことばにならない痛み」に、そっと光が差す瞬間が訪れると思うんです。
もし今、自分の“居場所”や“気持ちの名前”が見つからないと感じているなら──この本が、あなたにとっての小さな道しるべになるかもしれません。
日比野コレコ『モモ100%』では女子高校生の内面を描写
恋愛って、本当に心から誰かとつながりたくて、自分の“全部”を愛してもらいたくて…でもそれがうまくいかないとき、すごく苦しくなりますよね。
日比野コレコさんの『モモ100%』は、そんな痛みや願いを抱えながら全力で走る10代の青春を描いた一冊です。
恋愛を“生き延びる手段”と語る少女・モモが、星野という謎めいた少年と出会い、疾走するような日々を重ねていく──その姿に、自分自身の「愛し方」や「生き方」を重ねてしまう方も多いはず。
もしあなたが、誰かと本気で向き合うことに戸惑ったことがあるなら。
この物語はきっと、そっと背中を押してくれます。
モモの“全部”を抱きしめるように、あなた自身の心にもやさしく寄り添ってくれるはずです。
日比野コレコ作品の魅力と今後の注目ポイント
日比野コレコさんの作品に共通して感じられるのは、「静けさのなかにある深さ」。
派手な展開ではなくても、読んだあとにふっと心に残る余韻があるんですよね。
新作『たえまない光の足し算』はまだ書籍化されていませんが、芥川賞の発表後には刊行される可能性も大。
これからますます注目されること間違いなしです。
若き才能が紡ぐ言葉のひとつひとつに、そっと耳を傾けてみてくださいね。
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日比野コレコさんの作品をより深く味わうために、芥川賞や純文学、大衆文学の基本を押さえておくと理解が深まります。
また、電子書籍や音声読書の活用もおすすめです。