芥川賞と直木賞 -文学の世界において、もっとも注目されるふたつの賞なんですよね。
でも、「違いがよくわからない…」「どれから読めばいいの?」そんな声をよく耳にします。
この記事では、芥川賞と直木賞の特徴や歴代の受賞作、最新のノミネート作品までをまるっとご紹介していきますね。
はじめて文学賞にふれる方にも、ふだんから本を読まれている方にも、「今、この本を読んでみたい」と感じてもらえるような案内ができたらうれしいです。
芥川賞・直木賞とは?違いや選考基準をわかりやすく解説

芥川賞と直木賞は、どちらも日本でもっとも有名な文学賞なんですが、「どんな違いがあるの?」「どんな人が対象なの?」と疑問に思う方も多いんです。
ここでは、それぞれの賞の特徴や選考のしくみを、やさしく解説していきますね。
芥川賞とは?純文学を対象とした新人作家の登竜門
芥川賞は、「これからの日本文学を担う新人作家」に贈られる賞なんです。
特に、芸術性や思想性の強い“純文学”と呼ばれるジャンルが対象。
読みごたえのあるテーマや、文体に独特の味わいがある作品が多くて、“文学って面白い”と感じさせてくれる本と出会えることが多いんですよ。
直木賞とは?エンタメ系小説を評価する人気文学賞
一方、直木賞は“ストーリー性のある読みやすい小説”が多く選ばれる賞なんです。
ミステリーや時代小説、感動ものや恋愛ものまで、ジャンルはさまざま。
デビューして数年以内の作家さんが対象で、知名度の高い作家も多いので、「何か面白い小説を読みたい」と思ったときの入り口としてもぴったりなんですよね。
「純文学と大衆文学って、どう違うの?」と気になった方は、こちらの記事でやさしく丁寧に解説しています。作品例もご紹介していますので、ぜひ読み比べの参考にしてくださいね。
👉 「純文学と大衆文学の違いと特徴は?わかりやすく見分ける方法と作品も!」
芥川賞と直木賞の違いは?選考基準・対象作品・目的を比較
同じ“文学賞”でも、芥川賞と直木賞にははっきりとした違いがあります。
ざっくり言うと、「純文学か、大衆文学か」
そして選ばれる作家さんも、芥川賞はまだデビューしたばかりの新人中心、直木賞はある程度キャリアのある若手〜中堅作家という傾向があるんです。
▶芥川賞と直木賞の違いについて、もっとくわしく知りたい方は、 こちらの記事でじっくり比べてみてくださいね。 👉 「芥川賞と直木賞の違いはなに?」
芥川賞・直木賞の歴代受賞作とノミネート作品一覧【2020〜2025年版】
これまでにどんな作品が受賞してきたのかを知ると、文学賞が「時代を映す鏡」だということが見えてくるんです。
ここでは、2020年から2025年までの主要な芥川賞・直木賞の受賞作とノミネート作品を一覧でご紹介していきますね。
「どの作品から読もうかな?」と迷っている方の参考にもなるはずです。
第173回(2025年上半期)のノミネートと受賞作
第173回(2025年上半期)の候補作や受賞結果について、さらに詳しく読みたい方はこちらをご覧ください。👉 「第173回 芥川賞・直木賞の候補作まとめ」
第172回(2024年下半期)のノミネートと受賞結果
第172回(2024年下半期)の作品や選考の流れについては、こちらでわかりやすく紹介しています。
👉「第172回 芥川賞・直木賞の発表はいつ?」
第171回(2024年上半期)の受賞作と注目ポイント
171回(2024年上半期)の注目作品や見どころを知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。👉「第171回 芥川賞・直木賞の受賞作とノミネート一覧」
2020年〜2023年の主要受賞作まとめ
ここ数年の受賞作をふり返ってみると、「時代の空気」が透けて見えるような気がするんです。
たとえばパンデミックの影響、ジェンダー問題、地方都市の暮らしなど──
社会との向き合い方が、文学を通して描かれているんですよね。
年・回 | 芥川賞 受賞作(著者) | 直木賞 受賞作(著者) |
2023年下半期 第170回 | 東京都同情塔(九段理江) | ともぐい(河崎秋子) 八月の御所グラウンド(万城目学) |
2023年上半期 第169回 | ハンチバック(市川沙央) | 極楽征夷大将軍(垣根涼介) 木挽町のあだ討ち(永井紗耶子) |
2022年下半期 第168回 | この世の喜びよ(井戸川射子) 荒地の家族(佐藤厚志) | 地図と拳(小川哲) しろがねの葉(千早茜) |
2022年上半期 第167回 | おいしいごはんが食べられますように(高瀬隼子) | 夜に星を放つ(窪美澄) |
2021年下半期 第166回 | ブラックボックス(砂川文次) | 黒牢城(米澤穂信) 塞王の楯(今村翔吾) |
2021年上半期 第165回 | 貝に続く場所にて(石沢麻依) 彼岸花が咲く島(李琴峰) | テスカトリポカ(佐藤究) 星落ちて、なお(澤田瞳子) |
2020年下半期 第164回 | 推し、燃ゆ(宇佐見りん) | 心淋し川(西條奈加) |
2020年上半期 第163回 | 首里の馬(高山羽根子) 破局(遠野遥) | 少年と犬(馳星周) |
芥川賞・直木賞受賞作・ノミネート作を無料で読む方法|Kindle・Audible活用術

読みたい本があっても、すぐに買えないときってありますよね。
でも、芥川賞・直木賞の作品の中には、無料または定額で読める方法があるんです。
ここでは、KindleやAudibleを活用して、お得に受賞作を楽しむ方法をご紹介しますね。
Kindle Unlimitedで読める芥川賞・直木賞作品
最近では、受賞作の多くが電子書籍でも読めるようになっていて、なかでも「Kindle Unlimited」はとっても便利なんです。
月額の定額制で、対象の作品なら何冊でも読み放題。
文学賞受賞作も続々とラインナップに加わっていますから、気になった作品を、すぐ手にとって読んでみることができるんです。
👉 詳しくはこちら:「Amazon Kindle Unlimitedの使い方・料金・解約方法を徹底解説!」
Audibleで聴ける受賞作|文学の朗読体験

「目で読むのはちょっとしんどい…」そんなときは、Amazonの「Audible」で耳から文学を楽しむのもおすすめです。
プロのナレーターによる朗読は、まるで舞台を観ているような没入感があるんです。
通勤中や家事の合間に聴けるのも嬉しいポイント。
👉 ご案内はこちら:「Amazonオーディブル完全マニュアル【2025年版】」
紙の本・電子書籍・オーディオブック…どれが合う?
読み方は人それぞれ。
「本をめくる感覚が好き」という方もいれば、「夜、目を休めながら聴きたい」という方もいらっしゃいますよね。
大切なのは、“自分に合ったスタイル”で作品にふれること。
無理せず、楽しめる方法を選んでくださいね。
はじめての人におすすめ!読みやすい芥川賞・直木賞の受賞作5選
芥川賞や直木賞の作品は「難しそう」と思われがちなんですが、実はストーリーに引き込まれる“読みやすい名作”もたくさんあるんです。
ここでは、初心者にもぴったりな、読みやすく心に残る5冊を、やさしくご紹介しますね。
芥川賞のおすすめ2冊|短くて深く、読みやすい作品を
はじめて芥川賞作品を読む方にとって、「重たそう」「難解そう」と感じることもあるかもしれません。でも、短めで読みやすく、それでいて心に深く残る作品もたくさんあるんです。
ここでは、そんな“読みやすくて響く”芥川賞の2冊をご紹介しますね。
推し、燃ゆ/宇佐美りん(第164回芥川賞/2020年)
「誰かを応援することって、こんなにも切なくて、あたたかい──」
そんな想いが、胸の奥からじんわり広がっていく一冊です。
宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』は、推しにすべてを捧げる少女・あかりのまっすぐな感情を描いた物語。
平易な文体だからこそ、彼女の孤独や葛藤がまっすぐ伝わってくるんですよね。
「推しは背骨」という言葉に共感した方や、生きづらさを抱えながらも何かに夢中になったことのある方へ──この物語は、あなたの心にもそっと寄り添ってくれるはずです。
気負わずに読んでみてくださいね。
コンビニ人間/村田沙耶香(第155回芥川賞/2016年)
「“普通”って、なんだろう?」──そんな問いが、ふと心に浮かんだことはありませんか?
村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は、コンビニで18年間働き続ける女性の視点から、「ふつう」とは何かを問い直す物語なんです。
マニュアル通りに働くことで社会に適応してきた彼女の姿から、私たちが無意識に抱えている“当たり前”の価値観が、そっと浮かび上がってくるんですよね。
文体は淡々としていながらユーモアもあって、読みやすいのに、読み終えたあとにじんと余韻が残る──そんな一冊です。
もし“普通”に息苦しさを感じたことがあるなら、この物語はきっとあなたの心にもやさしく響くはずです。
どうぞ、気負わず手に取ってみてくださいね。
直木賞のおすすめ3冊|ストーリー性の高さでぐっと引き込まれる
直木賞作品は、「物語にぐっと引き込まれる」「感情移入しやすい」といった声が多いんです。特に初めて読む方には、テンポの良さや共感できるテーマがある作品がおすすめ。
ここでは、そんな“読みやすさ”と“面白さ”を兼ね備えた直木賞受賞作を3冊ご紹介しますね。
容疑者Xの献身/東野圭吾(第134回直木賞/2005年)
「人は、どこまで誰かのために犠牲になれるのか──」そんな問いに、そっと寄り添ってくれる一冊です。
東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』は、愛する人を守るために“完全犯罪”を仕掛ける天才数学者・石神の静かな情熱を描いた物語。
東京郊外の何気ない街を舞台に、彼の行動はやがて倫理や善悪の境界線すら揺るがせていきます。
文章はやさしくテンポも良いので、ミステリー初心者の方にもおすすめ。
緻密なトリックの先にあるのは、切なくも鮮やかな愛のかたち──まさに“読みやすく、深く響く”作品なんです。
映画化も話題になったこの物語は、きっとあなたの心にも静かに残り続けるはず。
もし誰かのために何かを手放したことがあるなら、石神の“献身”が、あなた自身の想いと重なるかもしれません。
4TEEN フォーティーン/石田衣良(第129回直木賞/2003年)
「もう一度、あの頃の自分に会いたい」──そんな想いが胸をかすめたこと、ありませんか?
石田衣良さんの『4TEEN』は、中学生4人の友情と葛藤を描いた青春連作短編集です。
東京・月島という下町を舞台に、恋や病気、死といった“人生の初めて”をまっすぐに受け止めていく少年たち。
軽やかな短編形式と、読みやすく瑞々しい文体でスラスラ読めて、ふと懐かしい気持ちになるんですよね。
重たいテーマも、仲間との会話や行動にやさしく包まれていて、読後には静かな余韻が残ります。
もし、あの頃の自分や仲間にもう一度会ってみたくなったら──この一冊を開いてみてください。
“14歳のあなた”が、きっとそっと目を覚ましてくれるはずです。
風に舞いあがるビニールシート/森絵都(第135回直木賞/2006年)
「譲れない“何か”のために、今日も私は生きている」──そんな気持ちに、そっと寄り添ってくれるのが、森絵都さんの直木賞受賞作『風に舞いあがるビニールシート』です。
UNHCR職員(国連難民高等弁務官事務所)や犬の保護活動に打ち込む主婦、仏像修復に情熱を注ぐ職人など、信念を貫こうとする人たちの短編が連なります。
どの作品にも、やさしさと力強さがあり、読んだあとに心がふっとあたたかくなるんですよね。
文章も平易で、登場人物の想いがまっすぐ心に届きます。
「自分にとって本当に大切なものは何だろう?」そんな問いに静かに光を当ててくれる、やさしい物語です。
心がちょっと疲れたとき、自分の“譲れないもの”を思い出したくなったときに、そっと手に取ってみてくださいね。
まとめ|芥川賞・直木賞は時代を映す鏡。まずは“いま”の物語から
文学賞というと、特別な人のためのものに思えるかもしれません。
でも、実はそこには、今を生きる私たちの感情や悩みが映し出されているんです。
芥川賞や直木賞を通して、社会の変化や人の想いにふれたとき、本の中の誰かが、そっとあなたに語りかけてくれるような気がするんです。
もし、いま自分が何かに迷っていたり、もやもやとした感情を抱えていたりするなら、ノミネート作や受賞作のなかに、そっとヒントが隠れているかもしれません。
まずは“いま”の物語から、手に取ってみてくださいね。
👉 最新情報はこちら:「第173回 芥川賞・直木賞の候補作まとめ」