夏の暑さに、少し気持ちがくたびれてしまうこと、ありませんか?
なんとなく読書からも遠ざかってしまって、「何を読んだらいいかわからない……」そんなふうに感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなときこそ、そっと心を整えてくれる物語に出会いたいもの。
今回は、7月に読みたい本として、大人の心に静かに響く5冊を選びました。
話題作から静かな名作まで、ジャンルもさまざま。
けれど、どの作品にも共通するのは、読み終えたときに“ちょっとだけ、やさしい気持ち”になれるということ。
暑さの中でふと立ち止まりたくなる瞬間に、そっと寄り添ってくれる一冊を──そんな想いでお届けします。
7月に読みたい小説5選|夏に読む大人の名作
どの本も、ただ「面白かった」で終わらない、心に残る一冊なんです。
読み終えたあと、自分のことや社会のことを、ふと見つめ直したくなるような──そんな余韻があるんですよね。
この夏の読書時間が、あなたにとって、ほんの少しでもやさしくて豊かなものになりますように。
生殖記/朝井リョウ
「“普通”って、なんだろう──」
そんな違和感を抱えたことがあるあなたに、そっと手渡したいのが朝井リョウさんの『生殖記』です。
近未来の東京を舞台に、“異性愛者として擬態する”同性愛者の尚成と、語り手となる彼の“生殖本能”が、自分たちの在り方を見つめ直していく──なんともユニークで、そして深い物語なんです。
「産むこと」や「生きること」に潜む社会の前提に、そっと疑問を投げかけながらも、読み心地は驚くほどスムーズで、ページをめくる手が止まらなくなってしまうんですよね。
「当たり前」が揺さぶられ、「それでも、今のままの私でいいのかも」と思わせてくれる。
この夏、もし“普通”に息苦しさを感じたことがあるなら、『生殖記』が、あなたのその気持ちにやさしく寄り添ってくれるかもしれません。
朝井リョウさんは1989年生まれ、岐阜県出身の小説家。早稲田大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、2013年『何者』で直木賞を受賞。『正欲』『生殖記』など、現代社会を鋭く描く作品が高く評価されている作家です。
パズルと天気/伊坂幸太郎
人間関係に疲れたとき、心がふっと軽くなる“やさしい謎解き”を。
伊坂幸太郎さんの短編集『パズルと天気』は、マッチングアプリの探偵や動物園のシロクマ、七夕まつりの騒動など、日常のすぐそばにある小さな謎を、ユーモアと優しさで包み込んでくれる一冊なんです。
「他人をパズルじゃなく天気だと思うほうがいい」──そんなメッセージが、他人とうまく距離をとれない私たちの心に、そっと寄り添ってくれます。
すべてを理解しようとしなくてもいい、完璧じゃなくていい。
そんな気づきが、読んだあとにやさしい風のように心に残るんですよね。
もし今、ちょっと心が疲れていたら、『パズルと天気』を手に取ってみてくださいね。
📚シリーズ📚
- パズル/『パズルと天気』より:Kindle版コチラ
- Weather/『パズルと天気』より:Kindle版コチラ
- イヌゲンソーゴ/『パズルと天気』より:Kindle版コチラ
伊坂幸太郎さんは1971年千葉県生まれ。東北大学法学部を卒業後、会社員として働きながら執筆を続け、2000年『オーデュボンの祈り』で作家デビュー。以後『ゴールデンスランバー』『死神の精度』などで多くの文学賞を受賞。仙台を拠点に、映像化作品も多い人気作家として活躍しています。
おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子
「わかりすぎて、胸がざわつく」──そんな読後感をくれるのが、『おいしいごはんが食べられますように』なんです。
誰もが経験したことのあるような職場での“食”と人間関係。
その微妙な空気感を、静かに、でも鋭く描いたこの作品は、第167回芥川賞を受賞した確かな実力の一冊です。
「食べること」が息苦しく感じられる瞬間や、誰かとの距離に戸惑う自分に気づかされる。
そして読み終えたあと、なんだか心の中が少し整理されたような──そんな感覚が残るんです。
この夏、あなたも自分の中の“もやもや”と、そっと向き合ってみませんか?
きっと静かに寄り添ってくれる物語です。
高瀬隼子さん(たかせ・じゅんこ)は1988年生まれ、愛媛県出身の小説家。立命館大学文学部を卒業後、会社員として働きながら執筆を続ける。2019年「犬のかたちをしているもの」でデビューし、2022年『おいしいごはんが食べられますように』で芥川賞を受賞。現代の人間関係や違和感を繊細に描く作風が高く評価されている。
スロウハイツの神様/辻村深月
「夢を語る夜、誰かと分かち合いたい孤独がある。」
そんな気持ちに、そっと寄り添ってくれるのが『スロウハイツの神様』なんです。
舞台は、夢を追う若者たちが集うアパート「スロウハイツ」。
それぞれが過去の傷や迷いを抱えながら、創作に向き合い、仲間とともに日々を重ねていきます。
夏の静けさの中で、人生や夢、人とのつながりについてじっくり考えたくなる──そんな7月に、大人が読みたい一冊。
物語を通して、「孤独や痛みを抱えることの意味」「夢を語り合える時間の尊さ」「再び歩き出す勇気」に、そっと気づかされるんですよね。
この夏、もし少しだけ自分や誰かのことを見つめ直したくなったら…ぜひ、この物語を開いてみてください。
きっと、あなたの心にも静かに灯るものがあるはずです。
辻村深月さん(1980年生・山梨県出身)は、千葉大学卒業後に執筆活動を始め、2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。『ツナグ』『鍵のない夢を見る』『かがみの孤城』などで文学賞を受賞し、繊細な心理描写と社会性のある作風で支持を集める現代作家です。
最後の証人/柚月裕子
「正義とはなにか――その問いに、あなたならどう答えますか?」
柚月裕子さんの『最後の証人』は、元検事の弁護士・佐方貞人が、誰もが有罪と疑わない刺殺事件の裏に潜む真実を追う法廷サスペンスです。
物語はやがて、過去の交通事故と交差しながら、「裁くこと」の重さや、人間の弱さと赦しを深く問いかけてきます。
夏の静かな夜にこそ、大人の心にじんわり沁みる一冊。
読むほどに、「正義って何だろう」と、誰かと語り合いたくなるはずです。
心に残る読書体験を、この夏、そっとあなたのそばに──どうか、じっくりと味わってみてくださいね。
柚月裕子さん(ゆづき・ゆうこ)は1968年岩手県釜石市生まれの小説家・推理作家。山形市在住。子育て後に小説家養成講座で執筆を学び、2008年『臨床真理』でデビュー。以後、『孤狼の血』『最後の証人』などで多数の文学賞を受賞。
▶柚月裕子さんの作品が好きな方には、女性作家による社会派小説にもきっと惹かれるはず。柚木麻子さんの最新刊や直木賞候補作についても、こちらの記事でくわしくご紹介しています。👉 柚木麻子の最新刊・直木賞候補作まとめ|『逃亡者は北へ向かう』と文庫おすすめ5選【2025年版】
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ちなみに、1月から6月まで、それぞれの季節にぴったりの本をご紹介してきた特集ページがあるんです。
「春の気配に心をふるわせたいとき」「雨の音とともに静かに本を読みたいとき」──
そんなふうに、季節の移ろいと心の動きに寄り添う一冊を探している方に、そっとおすすめしたい読書リストです。
ぜひ、こちらものぞいてみてくださいね。👉 12か月の季節に寄り添う物語まとめはこちら
また、この記事でご紹介した本の多くは、電子書籍(Kindle)やオーディオブックでも楽しめます。
👉 Kindle Unlimitedの使い方・料金・解約方法を徹底解説!初心者向けガイド
👉 Amazonオーディブル完全マニュアル【2025年版】|無料体験期間・メリット・解約手順
まとめ──「読む」ことで、少しやさしい夏に
今回ご紹介した5冊は、どれも心に静かに響く名作ばかり。
物語の世界に浸ることで、暑さや日々の疲れから少し距離をとり、心をそっと整える時間が生まれます。
どの本もKindleで手軽に読めるほか、Audible対応作品であれば耳から楽しむこともできます。
「ちょっと気になるな」と思ったら、まずはKindle UnlimitedやAudibleの無料体験を利用して、気軽にページをめくってみてくださいね。
そして、もし「これは」と思える一冊に出会えたら、そのまま本棚に迎えてあげるのも素敵な選択です。
あなたにぴったりの一冊が、きっと見つかるはず。
この夏の読書が、心を整えるやさしい時間になりますように。
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