「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」という名前を聞いたことはあるけれど、どんな作品が受賞してきたのか、どんな選考方法なのか…そこまで知らない方も多いですよね。
本記事では、最新の第35回受賞作『ロッコク・キッチン 浜通りでメシを食う』を含む最新情報とともに、歴代のおすすめ受賞作5選をご紹介します。
さらに、選考委員の仕組みやフランスの本家ドゥ・マゴ賞とのつながり、そして電子書籍やオーディオで気軽に読む方法も解説。
文学賞を通じて新しい一冊と出会いたい方に役立つ内容です。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞とは?
1990年にBunkamuraが設立した文学賞で、フランス・パリの「ドゥ・マゴ賞」の精神を受け継いでいます。
ひとりの選考委員が毎年受賞作を選ぶというユニークな方式で、常に新しい文学の可能性を探し続けているんです。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞選考委員は誰?
毎年、著名な作家や批評家がひとりだけ選考委員になり、その独自の視点で選ばれた作品が大きな注目を集めます。
そのため、受賞作は予想外の顔ぶれとなることも多く、文学ファンだけでなく一般読者にも話題になりやすいのが特徴です。
- 対象作品:前年7月1日から当年7月31日までに出版された日本語の文学作品
- 授賞式:毎年10月、Bunkamuraにて開催
- 賞品:正賞=賞状とスイス「ゼニス」社の時計、副賞=100万円
さらに受賞者の希望があれば、フランスの文学賞授賞式に招待されることもあります。
フランスのドゥマゴ賞とのつながり
実は、この文学賞のルーツはフランスにある「ドゥ・マゴ賞」なんです。
1933年に始まった由緒ある賞で、アカデミックなゴンクール賞に対抗するように誕生しました。
贈られるのは「新しくて独創的な小説」。
既成の枠に挑み、新しい文学の芽を育ててきた歴史があります。
ところで、「ドゥ・マゴ」という名前はちょっと不思議ですよね。
実は、パリの老舗カフェに飾られていた二つの中国の陶器人形に由来しています。
「ドゥ」は「2つ」、「マゴ」はずんぐりした陶器人形のこと。
つまり「二つの陶器の人形」という意味になります。
こうした背景を受け継いでいるからこそ、Bunkamuraドゥマゴ文学賞もまた、国際的な視点と自由な精神を大切にしているのです。
最新の受賞作(2024年・2025年)
直近2年の受賞作を紹介します。
毎年ひとりの選考委員によって選ばれる作品は、その年の文学の流れを映す特別な一冊なんです。
第34回(2024年度)
- 受賞作:高野秀行『イラク水滸伝』
- 選考委員:桐野夏生
遠い国のことは、自分には関係ないと思ってしまいがちですよね。
けれどこの本は、イラクに生きる人々の息づかいを、物語のように鮮やかに描き出してくれるんです。
辺境ノンフィクションの第一人者・高野秀行さんが、混沌の中にある希望とユーモアをすくい取り、読む者に“人間の強さ”を思い出させてくれます。
ページを閉じたとき、世界が少し近く感じられるはず。
異文化や歴史に関心がある方、旅を夢見る方にぴったりです。
第34回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
よかったら、この冒険に心を重ねてみませんか。
▶受賞作をもっと深く味わうなら、著者・高野秀行さんの人物像を知るのもおすすめです。
👉 高野秀行の妻やクレイジージャーニー出演歴と出身高校は?八王子出身で早稲田卒のWiki的プロフィール
第35回(2025年度)
- 受賞作:川内有緒『ロッコク・キッチン 浜通りでメシを食う』
(「群像」2024年10月号〜2025年8月号 隔月連載/講談社刊) - 選考委員:最相葉月
温かい食卓の記憶は、心を支える力になりますよね。
震災後の浜通りを舞台に、人と人が「メシを食う」ことでつながる風景を描いたのが、この物語です。
潮の香り、湯気の立つ鍋、笑い声の混じる台所…その一場面ごとに、生きることの確かさが伝わってきます。
川内有緒さんが紡ぐ言葉は、食と人の物語をやさしく照らし、読者の心に小さな灯をともしてくれるんです。
地域や暮らしの力に関心がある方へ特におすすめ。
第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
よかったら、そっとページを開いて味わってみてくださいね。
ドゥマゴ文学賞おすすめ受賞作5選
歴代の受賞作から、特に文学ファンに支持されてきた5冊を選びました。
小説からエッセイまで幅広いジャンルの作品は、日常にそっと彩りを添えてくれます。
『くっすん大黒』(町田康/第7回受賞作)
気持ちが少し曇った夜に、この物語を開いてみませんか。
ぶらぶら過ごす日々に嫌気がさしていた主人公が、大黒さまをきっかけに奇妙でユーモラスな冒険に巻き込まれていきます。
笑いながらも、人が生きるために必要な“勢い”や“軽さ”を思い出させてくれる一冊なんです。
読み終えたあと、肩の力が抜けて「まあ、なんとかなるか」と思えるはず。
日常に行き詰まりを感じている方にこそ響きます。
第7回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
よかったら、そっとページを開いてみてくださいね。
『不倫と南米』(吉本ばなな/第10回受賞作)
少し寂しい風が心をかすめるときに、この短編集は寄り添ってくれます。
南米の風景写真とともに描かれる物語は、恋愛の痛みや人生の揺らぎを淡く映し出すんです。
ページをめくるたびに、自分の中の小さな孤独や不安が、自然と癒されていくのを感じるでしょう。
吉本ばななさんらしい透明な文体に、読後は心がやわらかく整っていきます。
恋愛に迷いを抱えている方や、静かな余韻を味わいたい方にぴったり。
第10回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した作品です。
気軽に、ひとつの物語から始めてみませんか。
『流跡』(朝吹真理子/第20回受賞作)
雨上がりの水たまりに空を映すように、この物語は現実と幻想が静かに交錯します。
朝吹真理子さんが紡ぐ言葉は、透明でありながら深い余韻を残すんです。
幻想の中に漂う時間を歩むことで、読者は自分の感覚が研ぎ澄まされていくのを感じるでしょう。
日常から少し離れて、心を澄ませたいときにおすすめです。
読後には、何気ない景色さえ新鮮に映るはず。
第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した作品。
静かな夜に、そっと開いてみませんか。
『マザーズ』(金原ひとみ/第22回受賞作)
育児や結婚の現実に揺れる女性たちを描いた物語です。
子どもへの愛情と疲れ、夫婦のすれ違い…その複雑な心情が生々しく伝わってきます。
けれど読み進めるうちに、「弱さも含めて自分を抱きしめていいんだ」と思える優しさが立ちのぼるんです。
育児に追われる方はもちろん、人生に不安を抱える人すべてに響く物語。
読後は少し肩の荷がおり、明日を迎える勇気が湧いてきます。
第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
よかったら、今の自分に重ねながら読んでみてくださいね。
『買えない味』(平松洋子/第16回受賞作)
暮らしの中の小さな味わいを見つけたいとき、このエッセイは心を満たしてくれます。
煮っころがしや番茶の香り、台所のざわめきが丁寧に描かれ、まるでそこにいるかのような温かさが広がるんです。
読みながら、自分の日常にも「見逃していた幸せ」があることに気づかされます。
気持ちが張り詰めている方や、家庭の時間をもう一度大切にしたい方に寄り添う一冊。
読後は、夕食の支度さえ心地よく思えるはず。
第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。
よかったら、そっと手に取ってみてくださいね。
電子書籍・オーディオで気軽に読む方法
受賞作をもっと手軽に楽しみたい方には、電子書籍やオーディオブックがおすすめです。
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まとめ
Bunkamuraドゥマゴ文学賞は、ひとりの選考委員が作品を選ぶユニークな文学賞です。
- 最新の第35回は川内有緒『ロッコク・キッチン 浜通りでメシを食う』(選考委員:最相葉月)
- 第34回は高野秀行『イラク水滸伝』(選考委員:桐野夏生)
歴代のおすすめ受賞作5選も、多彩な魅力で私たちに新しい視点を与えてくれます。
📖 気になる作品を、電子書籍やオーディオで手軽に楽しんでみませんか?
きっと、あなたの心に残る一冊と出会えるはずです。