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谷崎潤一郎を読む順番は?代表作品や文体の特徴も

作家

谷崎潤一郎を読む順番は?代表作品や文体の特徴もについてご紹介していきますね。

谷崎潤一郎は日本文学を代表する作家の一人ですが、作品数が多いため、どの順番で読むべきか悩みますよね。

この記事では、谷崎潤一郎の代表作を読むおすすめの順番や、彼の独特な文体の特徴について優しく解説します。

初めて読む方にも、ファンの方にも、谷崎作品をより深く楽しむためのガイドとしてお役に立てれば嬉しいです。

この記事でわかること
  • 谷崎潤一郎の代表作品を読む順番
  • 谷崎潤一郎の文体の特徴
  • 谷崎潤一郎おすすめの読み方

谷崎潤一郎を読む順番は?代表作品や文体の特徴

谷崎潤一郎の作品は以下の3つの時期に分けることができます。

  • 初期作品における耽美主義 『刺青』~『人魚の嘆き』
  • 中期作品で掘り下げる   『痴人の愛』~『文章読本』
  • 晩年の傑作で締めくくる  『細雪』~『台所太平記』
知里
知里

初期、中期、晩年で小説が変化しているので、みなさんそれぞれに好みの時期があるのが興味深いですね。

私は中期から細雪が好き!

ヨメキチは?

ヨメキチ
ヨメキチ

僕は初期だな!

感覚で読めるから面白いと感じるよ

谷崎潤一郎の代表作品を読む順番

谷崎潤一郎の代表的な作品を少しのあらすじと、少しの個人的な感想を交えて、読む順番にご紹介します。

1.刺青 

「しせい」 1910年(刊行)

昔、清吉という浮世絵職人がいました。彼は、美しい女性の体に自分の芸術を刻みたいと願っていましたが、理想の女性に出会うことができずにいました。

そんなある日、駕籠から見えた女性の白い足を見て、清吉はその女性こそが自分の理想だと感じたのです。それで、彼はその女性に、自分が描いた美しい蜘蛛の模様を彫り込むことに決めました。

この物語「刺青」は、美しいものに魅了される感情とその力を描いた処女作です。

先ずは読んでおくべき一冊です

2.秘密

1911年(刊行)

主人公はいつもと違う刺激を求めて、過去に関わりがあった女性と再会します。その再会をきっかけに、彼はさらに強い刺激を求めるようになるのです。

物語は、主人公が女性との密会に夢中になりながら、自分自身にもどんどん惹かれていく様子を描いており、話の雰囲気は華やかですが、読んでいると緊張感も伝わてくるように思います。

刺青、秘密 共に読めるので嬉しいですね!

3.人魚の嘆き

1917年(刊行)

南京に住む貴族の男性が、北国の冷たくて美しい人魚に激しく恋をする物語です。この物語を通じて、谷崎潤一郎の西洋の美しさに対する憧れが感じられます。

初期の作品は、美しさにこだわっていて、後期の作品とは趣向が異なるかもしれませんが、美しいものに心を奪われる瞬間を描いた表現が素晴らしいと思いました。なんと言っても水島爾保布の挿絵もその美しさをさらに引き立てています。

挿絵とともに楽しめる美しい小説です
こんな感じの神秘的な絵が随所に載っています。お楽しみください。

4.痴人の愛

1924年(刊行)

真面目なサラリーマンである河合譲治は、カフェで出会った美少女ナオミを妻に迎えました。ところが、ナオミの魅力に引き寄せられる不良たちが次第に周りに集まり、成長するナオミの妖艶さに河合は心を悩ませることになりました。

それでも、彼は次第に情欲の深淵に堕ち、ナオミに支配されていく様子が描かれています。

美しくて傲慢な女性に、男たちが無条件に従う様子が少し滑稽に映る一方で、物語の文体や風景描写がとても鮮やかだと感じました。

  \興味のある方はこちらからどうぞ/

5.卍

1928年(刊行)

この話は、若い妻の園子が技芸学校で光子と出会い、次第に秘密の関係を築いていく過程を描いています。

光子は自由で魅力的な人物ですが、同時に別の男性とも関係を持っているため、園子は深く悩むことになります。

その結果、二人の関係は複雑化し、互いに傷つけ合いながら悲劇的な結末へと向かっていきます。

この物語は、光子の魅力に引き込まれた人々が破滅していく様子の描写を味わってください。

何度も読み返したくなる一冊です

6.蓼食ふ虫

1928年(刊行)

夫婦が結婚するときには、すべてが完璧だと思っていたのですが、なぜか結婚後にお互いの魅力を感じなくなってしまいました。そのため、夫婦の関係は冷え込み、夫は他の女性と遊び始め、妻は他の男性と会うようになりました。

その結果、関係は壊れてしまいましたが、子どものことを考えると離婚することができないでいます。

よくある話かもしれませんが、それを谷崎はどう描ききったのか?というところに注目です。この物語では、壊れた夫婦の姿と、人形浄瑠璃という古い日本の人形劇が重ね合わされ、独特の雰囲気で描かれています。

壊れた夫婦のあり様を谷崎で体感してください

7.吉野葛

1931年(刊行)

谷崎が昔の友達を訪ねて吉野という場所を旅するお話ですが、自然の美しさや古い伝説とともに、母親への深い思いが描かれています。

主人公が友達に誘われて吉野の奥地へ旅行し、南朝の歴史や古典の楽器など、多くのことを学んでいきます。さらに、吉野の美しい風景や特産品が描かれており、読んでいると吉野に行ってみたくなるともいます!

このお話は旅行記のような要素も含まれており、最後には友達が結婚するという結末が待っています。

趣向の違った小説を一度味わってみてください

8.盲目物語

1931年(刊行)

三味線が得意な盲目のあんま師、弥市は、かつて仕えていたお市の方の悲しい運命について語ります。お市の方は、織田信長の妹であり、その美しさが評判でした。

しかし、彼女の夫である浅井長政が信長に敗れ、さらに再婚した柴田勝家も秀吉の攻撃を受けて亡くなってしまいます。弥市はお市の方に深く惹かれ、どこまでも彼女を追い続けたいと願っています。

弥市の心情は平仮名が多く使われた文体で切々と表現されています。その表現はよりせつなさを感じます。

盲目の弥市が語る想いを汲んでください

9.春琴抄

「しゅんきんしょう」1933年(刊行)

このお話は、盲目の三味線の先生である春琴と、その弟子である佐助の愛と献身について描いています。佐助は幼い頃から春琴を支え続け、彼女が顔に傷を負ったときには、自分も目が見えなくなることを選び、佐助は春琴と同じ世界に生きることを決意。二人は愛を深めていきます。

そして、春琴を守り抜くために自らの視力を捨てた佐助の行動は、彼が春琴をどれほど大切に思っていたかを綴った物語です。

佐助の覚悟は愛の深さと比例します

10. 陰翳礼讃

「いんえいらいさん」1933年(刊行)

谷崎潤一郎は、昔の日本の美しさが近代化で失われていくことを心配していました。その理由として、彼は、日本の伝統的な家や道具が電気や白いタイルなど、西洋の影響で調和を失っていると感じていたのです。

また、日本人は自然の中に美しさを見出し、時代を経た風合いを楽しむ文化を持っていましたが、現代ではそれが軽視されていると述べています。

谷崎は、失われつつある日本の美を文学の中で取り戻したいと考えていたのです。

日本の美しさの奥深さがわかります

11. 文章読本

1934年(刊行)

美しい文章を書きたい方や文学作品をより深く理解したい方に最適です。なぜならば、この本では、谷崎潤一郎が文章の種類や歴史、成り立ちについて分かりやすく教えてくれるからです。普段の小説とは違い、読みやすくて、理解しやすいのでスラスラと頭に内容が入って行きます。

さらに、翻訳本を読む際のコツも学ぶことができ、外国の本をより楽しむことができるようになります。

谷崎の優しい説明によって、難しい文章も理解しやすくなり、文章を読む楽しさが広がります。ぜひ、読んでいただきたい一冊です!

文章の説明が非常にわかりやすく書かれています

12. 細雪

「ささめゆき」1948年(刊行)

この物語は、大阪の蒔岡家に住む美しい四姉妹を描いた谷崎潤一郎の代表作です。特に毎年の花見や、妙子の舞のシーンは華やかで、心に残ります。

物語が進むにつれて、読者は四女の雪子のお見合いや、次女の妙子が直面するトラブルにハラハラしながら、姉妹たちの運命に引き込まれていきます。

そして、物語の終わりには、四姉妹とお春どんが新しい未来へ踏み出す様子が描かれ、ちょっとした意外な結末で締めくくられています。

四姉妹それぞれの性格を楽んで!

13. 鍵

1956年(刊行)

この物語は、封建的な家庭で育った妻と年を取った大学教授の夫の話です。夫は年齢のせいで体力が衰え、妻の欲求を満たすことができなくなります。そこで夫は、妻に若い男性を近づけることで、自分の気持ちを奮い立たせようとします。

そして「鍵」という日記。これが夫婦の秘密を明らかにする手がかりとなります。

お互いに日記を盗み見られているかもしれないという緊張感が、物語にさらなる緊迫感を加えています。たとえこの夫婦が普通に見えても、実は日常の中に深い秘密や複雑な感情が隠れていることが、怖いです。

14. 瘋癲老人日記

1961年(刊行)

カタカナに慣れていない人は、「鍵」などの本を読んで慣れてみてください。この話も「鍵」と似ていますが、一つ一つの言葉を丁寧に読むと、年老いた主人公の気持ちが見えてきます。

77歳の督助(とくすけ)は、息子の嫁である颯子(さつこ)に恋をします。彼は颯子の美しい体を手に入れるのですが、それは変わった夢の実現でした。督助は颯子の足の形を取って、それを墓石にし、自分の骨をその下に埋めようとします。物語の終わり方がとても印象的です。

15. 台所太平記

1962年(刊行)

作家の千倉磊吉(らいきち)の家で働く女中さんたちについて書かれた話です。昔の時代は、自由に生きることが難しかったけれど、そんな中でも女中さんたちは元気に働いていました。

作者は、彼女たちの個性や力強さを美しい言葉ではなく、具体的に書き残しました。この作品には挿絵があり、少し難しい内容を和らげてくれて、かわいらしく感じられます。

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谷崎潤一郎の文体の特徴

谷崎潤一郎は、物語を書くときにとても細かく美しい描写をします。たとえば、登場人物や風景を詳しく描いて、読んでいる人がその場面を頭の中でイメージしやすくします

谷崎の本には、ちょっと変わっているけれど魅力的な女性たちが登場し、個性が際立っているのも特徴のひとつ。

また、日本の伝統や美しい風景も描かれており、読んでいると日本の美しさを感じられるようになっています。堪能してくださいね!

谷崎とはどんな人?

谷崎潤一郎おすすめの読み方

本を読むときは、まず、物語の雰囲気世界を楽しむことが大切です。自分がその場にいるような気持ちで読んでみると、もっと面白くなります。

谷崎潤一郎の本を読むときは、登場人物たちの気持ちや物語の背景を考えながら読むと、もっと楽しめます。

難しい部分があっても、無理せず少しずつ読んでみてくださいね。

谷崎潤一郎賞についてはコチラです

まとめ

谷崎潤一郎を読む順番は?代表作品や文体の特徴もについて、以下の3つの事柄をご紹介しました。

  • 谷崎潤一郎の代表作品を読む順番
  • 谷崎潤一郎の文体の特徴
  • 谷崎潤一郎おすすめの読み方

谷崎潤一郎の本を読むときは、彼の作品を刊行順に読んでみるといいです。

そうすると、谷崎潤一郎がどんなことを考えていたのか?どんな時代に?谷崎が何歳の時に書いたのか?どんな出来事があったのか?がわかりやすくなります。

もし、まだ読んだことがない本があれば、この機会にぜひ読んでみてくださいね!

どうぞ、楽しい読書時間になりますように。

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