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泉鏡花文学賞の歴代受賞作品と選考委員は誰?特徴やおすすめ本も

文学賞

泉鏡花文学賞の歴代受賞作品と選考委員は誰?特徴やおすすめ本ものご紹介です。

泉鏡花文学賞は、ちょっと不思議で美しい物語が選ばれる文学賞ですよね。この世界観を好きな方も多いと思います。

この記事では、これまでに泉鏡花文学賞受賞作品や、泉鏡花文学賞の選考を担当した作家さんたちについてご紹介します。また、ぜひ読んでみてほしいおすすめの本もお伝えします。泉鏡花の世界をもっと身近に感じられる内容になっています。

この記事でわかること!
  • 受賞作品のおすすめ本
  • 歴代受賞作の選考委員
  • 泉鏡花文学賞の特徴

泉鏡花文学賞の歴代受賞作品と選考委員は誰?

泉鏡花のこれまでの作品に通じるもので、ロマンチックで心に残る小説や戯曲が対象となります。

石川県内、全国の作家や文学評論家が推薦した作品の中から、候補作品が選ばれた後、選考委員が最終的に受賞作品を決めます。

  • 泉鏡花文学賞は、泉鏡花の生誕100年を記念し、1973年に作られました。
  • 金沢市が主催し、毎年1回発表されます。
  • 大賞作品は毎年8月1日を基準日とし、1年間に出版された文芸作品(小説、戯曲等の単行本に限る)で、選考されます。
  •  受賞者は選考委員の合議で決定され、正賞として八稜鏡、副賞として150万円が贈られます
  • 泉鏡花文学賞には2つの賞があり、「泉鏡花文学賞」と「泉鏡花記念金沢市民文学賞」です。
  • 泉鏡花記念金沢市民文学賞」は、金沢市に関係のある人が対象です。

八稜鏡は、中国唐代の鏡の一つで、八枚の花びらの形をした装飾が特徴です。

石川県白山市 島清恋愛文学賞もあります

泉鏡花文学賞歴代賞作品のおすすめ本

泉鏡花文学賞受賞作品の中から「初めて読む人に向けてのおすすめの本5選」と「より深く楽しめる作品5選」をご紹介します

泉鏡花文学賞を初めて読む人におすすめの作品

泉鏡花文学賞を初めて読む人に向けておすすめ本5選とおすすめポイントも一緒にご紹介します。

アニマル・ロジック  山田 詠美

この本は1,000ページもありますが、一つ一つの話が完結しているので、どこから読んでも楽しめます。

しかも読み進めるたびに幸せな気分になれる本なので、手元に置いて何度でも読み返したくなるのです。

内容的には「人種差別」についても深く書かれており、長編ですがとても面白く読めました。読んでいると、私たちの周りのいろいろな差別についても考えさせられる部分もあり、なんといっても結末がとても美しく描かれており、心に残るのです。

本が厚いという声もありますが、全て読まなくても、作者の素晴らしい世界が十分に感じられる作品をぜひ手に取って、充実した時間を過ごしてみてください。

ずっと手元に置ておきたい一冊
初めてのおすすめポイント
  • この本は、どこから読んでも楽しめるように、一つ一つの話が独立しています。
  • 全てを読まなくても、気軽に始められます。
  • 「人種差別」など、考えさせられるテーマが含まれています。
  • 読みやすい文章なので初めてでも理解しやすいです。
  • さまざまなストーリーが詰まっているので、新しい世界を発見する楽しさがあります。
  • 初めて読んでも、何度も繰り返し読みたくなるような魅力的な内容で、読書習慣をつけるのにぴったりです。

◆第24回(平成8年)泉鏡花文学賞受賞作品

魚神  千早茜

この物語は、閉じられた小さな島での混乱した世界を描いていており、島には、遊女屋がたくさん並んでいて、そこには美しい姉弟がいます。

美しい姉は女郎として、美しい弟は男娼として生きることになりますが、この物語の現在は薬を売る仕事をしています。姉と弟はお互いを求めていますが、彼らの運命は島に伝わる「雷魚伝説」と結びついていきます。「雷魚伝説」を読み解いてゆくと面白い結論になります!

神秘的な物語を味わえます
初めてのおすすめポイント
  • 閉ざされた島での混乱が独特で、読者を引き込む魅力があります。
  • 美貌の姉弟が異なる運命に翻弄されつつも互いを求め合う、感情豊かな心に残るストーリーです。
  • 島の『雷魚伝説』が物語にミステリアスな雰囲気を加えています。
  • 姉弟の道を分かつ中での人間関係や感情描写がリアルで深い。

◆第37回(平成21年)泉鏡花文学賞受賞作品◆第21回小説すばる新人賞

妻が椎茸だったころ  中島京子

物語は、亡き妻が残したレシピをもとに、椎茸と奮闘し、料理教室に通い始める夫・泰平。突然叔母の家に現れた男が家族のように振る舞う話などがあり、日常の中で「ちょっと怖くて、愛おしい」5つの短編が描かれています。

読んでみると、現実に似ているけど少しずれている不思議な感覚を味わえます。ぜひ、読んでほしい一冊です!

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初めてのおすすめポイント
  • 5つの短編で異なる世界観を味わえ、「怖くて愛おしい」魅力が詰まっている。
  • 現実に似た世界ながらも、少しずれている不思議な感覚が特徴。
  • 人物の感情や状況が細かく描かれており、心に残るストーリーが多い。
  •  短編が多いため、気軽に読み始めやすく、一つずつじっくり楽しむことができる。
  • 短いので、忙しい日常の合間にもぴったり。

◆第42 回(平成26年)泉鏡花文学賞受賞作品

風景  瀬戸内寂聴

瀬戸内寂聴の人生をもとに書かれた自伝的な短編集です。

『デスマスク』では破滅的な恋が再び語られ、「そういう一日」では得度を前にした心の揺れが初めて語られています。これらの短編は、彼女の深い体験をリアルに描いており、受賞作『場所』と並ぶ素晴らしい作品です。

何度も読み返したくなる一冊
初めてのおすすめポイント
  • 瀬戸内寂聴の豊かな感情と深い体験がリアルに描かれ、彼女の人生を感じられる。
  •  『デスマスク』は、破滅的な恋愛をリアルに描き、感情の激しさや切なさを感じさせます。
  •  『場所』と並ぶ名作短編集で、野間文芸賞や安吾賞の受賞がその質を証明しています。

◆第39 回(平成23年)泉鏡花文学賞受賞作品

ムーンライト・シャドウ 吉本 ばなな

この作品では、2組のカップルが登場します。1組は主人公の女性と彼氏、もう1組は彼女たちです。事故で大切な人を失った彼女たちは、心の痛みと向き合いながらも、マラソンを始めたり、女装をしてみたりします。愛する人を亡くした悲しみから立ち直るために、自分を保つのがやっとな日々の中、ある女性が教えてくれた奇跡が、彼女たちを再生へと導くはなしです。

この作品は、愛する人を失った深い悲しみと、その後の再生を描いていており、もしも大切な人を亡くしても、残された人は前を向いて生きていくしかありません。切なくて優しい、心に残る話でした。

『キッチン』所収されています
初めてのおすすめポイント
  • 愛する人を失った悲しみと、その後の再生過程がリアルに描かれています。
  • 感情の深さに触れることで、共感や理解を深めることができます。
  • 困難を乗り越える力を与えてくれる話です。
  • 自分の心の傷と向き合うさまざまな方法が描かれている。
  • 物語に登場する「奇跡」が、どのように彼女たちを助けるのかが鍵となっています。
  • 切ないけれども温かいメッセージがあり、心に残る読後感があります。

◆第16回(昭和63年)泉鏡花文学賞受賞作品

泉鏡花文学賞を深く楽しめる作品

泉鏡花文学をより深く楽しめる泉鏡花文学賞受賞作品のおすすめ5選をご紹介します。

甘い蜜の部屋  森 茉莉

森茉莉の作品は、深くて魅力的な言葉で描かれており、まるでたくさんの薔薇の香りに包まれているような気分になるのです。

さて、この物語は、主人公モイラの成長に合わせて、幼児期、少女期、青春期の3部から成り立っており、物語の中心は、父と娘の特別な「愛」です。この「愛」は普通の親子のものとは違い、まるで夫婦のような感情を持っているんです。

なので、モイラは大人になっても、父のもとで安心感を得ており、彼女の周りには彼女を引きつける力を持った男性たちがいます。

この物語は、単なる耽美主義を超えて、より深い内容を持っています。

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おすすめポイント
  • 森茉莉の文章は非常に美しく、妖艶で官能的です。
  • 父と娘の「愛」を、一般的な親子の関係とは異なる独自の視点で描いています。
  • 主人公モイラの幼児期から青春期までの内面の変化や成長が丁寧に描かれています。
  • 物語の中での耽美主義的な描写(特に、第二部と第三部での展開が壮大)が感動的。
  • 複雑な「愛」や人間関係、その影響を描くことで、文学的な深さと美しさを兼ね備えています。

◆第3回(昭和50年)泉鏡花文学賞受賞作品

箱の夫  吉田 知子

「小さな夫との奇妙で幸せな日々」では、夫を運ぶのにぴったりな箱を探す話が描かれています。

しかし、ある日、確信していた現実が揺らぐ瞬間が訪れます。

この本には、表題作を含む8つの短編が収められており、主に初老の女性が感じる不安や、財産や大切なものとの関係の変化が描かれています。幻想的な結末と共に、読後には深い印象を残す内容です。

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おすすめポイント
  • 現実と幻想が交錯する不思議な物語で、読んでいると不安や謎が広がります。
  • 年齢を重ねた女性の不安や財産、大切な人との関係の変化を通じて、感情や不安が巧みに描かれています。
  • 生活の中の喪失感や不安について考えさせられる内容です。

◆第27 回(平成11年)泉鏡花文学賞受賞作品

大きな鳥にさらわれないよう  川上 弘美

遠い未来、人類は衰退の危機に直面し、「母」という存在のもとで、集団ごとに隔離された生活を始めます。

異なる集団が交わることで、新しい遺伝子を持つ進化した人間が生まれるかもしれないという希望に賭けた物語であり、未来の人類の運命を、さまざまな視点で描いた「新しい神話」です。

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おすすめポイント
  • 人類の進化と生存をテーマに、希望と絶望が交錯する未来像が描かれています。
  • 複数の語り手が登場し、人類の運命を多角的に描く深みのあるストーリーが楽しめます。
  • 人類の進化と隔離された生活、希望の可能性がテーマです。
  • SFや哲学に興味がある読者に特におすすめです。

◆第44回(平成28年)泉鏡花文学賞受賞作品

最愛の子ども  松浦 理英子

家族のように仲が良い三人の女子高校生が、愛や性について悩みながら、成長し、関係が少しずつ変化して行くのですが、家族や友愛の意味を見つめ直していく様子が描かれています。

ずっとそばに置いておきたい本
おすすめポイント
  • 三人の女子高校生の友情や愛、性に向き合う姿がリアルに描かれており、青春の葛藤と成長が感じられます。
  • 家族や友愛の意味を考え直すきっかけになります。
  • 著者の力強い筆致が、繊細で複雑なテーマを魅力的に描き出しています。

◆第45回(平成29年)泉鏡花文学賞受賞作品

あなたの燃える左手で   朝比奈 秋 

アサトは、ハンガリーの病院で手の移植手術を受けました。しかし、麻酔から覚めると、見知らぬ白人の手がつながっていました。

この物語は、身体の一部が突然変わることと、他国の領土が急に自分の国になることを重ね合わせて描かれています。

著者は、クリミア併合後の状況を背景にこの作品を書いたそうです。

癖になりそうな一冊
おすすめポイント
  • 手の移植手術と領土の変化を重ね合わせ、紛争や占領の意味を考察する斬新なテーマです。
  • クリミア併合など実際の歴史的事件を背景にし、フィクションでありながら現実との関連性を感じられます。
  • 現役医師の視点で医学的現実を反映し、物語に説得力を持たせています。
  • 身体的・社会的アイデンティティに関する深い問いかけが魅力です。

◆第51回(令和5年)泉鏡花文学賞受賞作品、第45回野間文芸新人賞同時受賞

朝比奈秋についてはこちらです!

泉鏡花文学賞の特徴と傾向について

  • 泉鏡花文学賞は、他の文学賞とは少し違った特徴を持っています。この賞は、特に泉鏡花という作家の作品に影響を受けた、独特で美しい世界を描いた作品は評価されやすいです。
  • 泉鏡花の作品には、幻想的な雰囲気や、美しい言葉で描かれる独自の世界観があります。
  • そのため、この賞を受ける作品も、同じように幻想的で美しい物語が多いのです。
  • 選考委員は、物語の独創性や美しさを重視し、読者の心に残るような作品を選びます。
泉鏡花文学賞は、他の文学賞と違う特徴を持っています
  • 美しい世界を描く作品が評価されやすい。
  • 幻想的な雰囲気や美しい言葉で描かれる独自の世界観がある。
  • 受賞作品も幻想的で美しい物語が多い。
  • 選考委員は、物語の独創性や美しさを重視し、読者の心に残る作品を選びます。

泉鏡花文学賞の選考委員

◆第1回(1973年)の選考委員:吉行淳之介、井上靖、尾崎秀樹、瀬戸内晴美、奥野健男、三浦哲郎、森山啓、五木寛之

◆第51回(2024年)の選考委員:五木寛之、村田喜代子、村松友視、嵐山光三郎、山田詠美、綿矢りさ

選考委員の五木寛之は第1回から現在に至っても選考委員をしています。

五木寛之は精神科医だった妻の故郷である金沢で静かに過ごしながら小説を書き始めたのがきっかけです。

1973年には、金沢出身の作家、泉鏡花に由来する「泉鏡花文学賞」や「泉鏡花記念金沢市民文学賞」が創設され、その審査委員として現在も関わり続けています。

泉鏡花の原作作品

彼の作風を知るためにおすすめの泉鏡花原作作品を3冊ご紹介します。

高野聖

(1900年刊行)

高野山の修行僧が旅の途中で出会った若者に、自身の不思議な体験を語る物語。内容は、蛇やヒルのいる険しい山道を越え、魅力的な美女が住む家にたどり着いた僧侶が、そこで幻想的な世界を体験する、という話を若者に語るお話。読後、このお話を考察してみると少し怖いです。

また、鏡花らしい豊かな言葉と視覚的な表現が特徴となっています。

婦系図

(1907年刊行)

泉鏡花の作品は、難しい言葉や独特な文体で書かれているため、読むのが少し難しいです。

この作品は、主人公の主税(ちから)が恩のある酒井家に敵対する、河野家を討つ物語。

泉鏡花の優れた技術によって、特別な作品に仕上がっているので一読の価値があります!

歌行燈

(1910年刊行)

桑名の町の夜が舞台。二人の旅の老人が現れ、うどん屋の夫婦に感心される場面が描かれています。

これは男の過去の因縁や、女郎お三重の悲しい話が絡んでいて、それらの話が二重の状態で物語が進んでいきます。鏡花が好む複雑な物語が展開していきますが、泉鏡花の世界を堪能できる一冊になっています。まだ読んだことのない方にはおすすめします!

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まとめ

今回は、泉鏡花文学賞の歴代受賞作品と選考委員は誰?特徴やおすすめ本もについて、以下の3つの事柄をご紹介しました。

  • 受賞作品のおすすめ本
  • 歴代受賞作の選考委員
  • 泉鏡花文学賞の特徴

泉鏡花文学賞は、日本の文学を大切にする石川県が主催する文学賞です。

この賞は、美しい言葉や幻想的な物語を書く作家を称えるもので、文学が好きな人にはとても魅力的ですよね。

泉鏡花という作家の影響を受けた作品は、読者を幻想的な世界に引き込む力がありますから。

まだ読んだことのない方はこの機会に、ぜひ、泉鏡花文学賞の受賞作品を手に取ってみてください。きっと、新しい世界や感動に出会えるはずで、文学の面白さを感じるきっかけになるかもしれません。

楽しい読書時間をお過ごしください!

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